神様修行はじめます! 其の五
―― ガ――ン! ガ――ン!


 頭部を殴られるような衝撃は止まない。


 目の前の現実が、剥き出しの神経をザラザラと逆撫でて、強烈な痛みとなって襲いかかってくる。


―― ガァ――ン! ガガ――ン!


 悲しい。苦しい。つらい。


 信じていたのに。信じようとしていたのに。


 まさか、彼があたしじゃない人を求める姿を、この目で見てしまう日がくるなんて!


 門川君の言う通りだ! こんな所、来なければよかった!


 こんな……こんな、体を切り刻まれるよりも苦しい思いをするなんて……!


―― ガアァ――ン! ドォォ――ン!


 …………。


 ……ちょっと待て。


 なんかこの効果音、さっきからおかしくないか?


―― ドドドオォーー……!!


「うわっ! なんだこれ!?」


 いきなり頭上から、黒い物体がドサドサ連続で落っこちてきた。


 でっかいコンクリの破片みたいなのが、結界に当たって跳ね返り、ドズンと足元に落下して埋まる。


 これ、門川君が凍らせた黒霧じゃん!


 どうもさっきからガンガンやかましい音がすると思ってたら、これが落ちてきてたのか!


 凍ったせいで、異形の性質が変化したのかもしれない。これだから正体不明の敵とは戦っちゃダメなんだよ!


―― ドドドド……!


 あれよあれよと黒い破片が落下してきて、足元を黒く染めていく。


 浮上して逃げようにも、雨あられのように天井が崩れてきてるわけだから逃げられない!


「うわっ! うわっ! うわっ!」


 結界で守られてはいるけど、無意識に両手で頭をガードしながら悲鳴をあげる。


 この状況、トンネルの落盤事故と同じだ。閉鎖された空間にこんな大量の破片が落ち続けてきたら、生き埋めは確定だ。


 ヘタしたら、結界の強度だって衝撃に耐えきれないかもしれないし、どうすりゃいい!?


 このまま黙って生き埋めを待つしかないの!?
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