神様修行はじめます! 其の五
連中にとっては、自分たちの一族の位の高さが、なにより自慢なのよ。
誇りであり、生きがいみたいなもん。
対して、異形のモノと戦えるだけの力を持たない『非・能力者』は、こちら側では異端の存在だ。
嫌な言葉だけど、一族のツラ汚し的に思われている存在。
そのツラ汚しが、ピラミッド上部の高貴な一族ばかりから生まれている……?
―― ザワザワザワ……
池に放られた小石から生じる波紋のような、小さな動揺が当主たちの間に走った。
いま地味男が言ったことが本当なら、セレブ連中にとって由々しき一大事だろう。
自分たちの生きがいである血統に、真っ黒な墨汁をぶっかけられるようなものだもの。
「それで、その意味するところは?」
ざわつく空気を制するように、門川君が地味男に問いかける。
「その事実を元にして、君はどんな仮定を導き出したのだ?」
「はい。上位一族と、下位一族の婚姻のしきたりの違いが、疑問を解くカギであるのではないかと考えました」
「しきたりの違い? それは、どういったことだ?」
「はい。それは……」
自分の発言が、この場の全員の注目を浴びている。
そのことは充分理解しているだろうに、この男の声にも態度にも、少しも気負いや芝居がかった様子は見られない。
あくまでも控えめで、そしてどこまでも淡々とした口調で、彼は答えた。
誇りであり、生きがいみたいなもん。
対して、異形のモノと戦えるだけの力を持たない『非・能力者』は、こちら側では異端の存在だ。
嫌な言葉だけど、一族のツラ汚し的に思われている存在。
そのツラ汚しが、ピラミッド上部の高貴な一族ばかりから生まれている……?
―― ザワザワザワ……
池に放られた小石から生じる波紋のような、小さな動揺が当主たちの間に走った。
いま地味男が言ったことが本当なら、セレブ連中にとって由々しき一大事だろう。
自分たちの生きがいである血統に、真っ黒な墨汁をぶっかけられるようなものだもの。
「それで、その意味するところは?」
ざわつく空気を制するように、門川君が地味男に問いかける。
「その事実を元にして、君はどんな仮定を導き出したのだ?」
「はい。上位一族と、下位一族の婚姻のしきたりの違いが、疑問を解くカギであるのではないかと考えました」
「しきたりの違い? それは、どういったことだ?」
「はい。それは……」
自分の発言が、この場の全員の注目を浴びている。
そのことは充分理解しているだろうに、この男の声にも態度にも、少しも気負いや芝居がかった様子は見られない。
あくまでも控えめで、そしてどこまでも淡々とした口調で、彼は答えた。