神様修行はじめます! 其の五
「小娘よ、まさかこのまま、逃げ帰ろうなどと考えてはおらぬじゃろうな」
一番弱い部分を、容赦なく突かれてギクリとした。
指摘されたくなかったことを、そのものズバリ指摘されて、バツが悪くてたまらない。
叱られた子どもみたいな、こんなミジメな自分をみんなに見られているのがつらくて、ますます下を向いた。
「帰っちゃ……悪い?」
アスファルトに座り込んだまま、両手をギュッと握りしめて、あたしはふて腐れた声でボソッとつぶやいた。
絹糸がそんなあたしに、ひどく真面目に答える。
「お前は永久の護衛役じゃろうが」
「そうだけど……」
「おのれで決めたことには、責任を持て」
「そうだけど」
「何のために自分がここにいるのかを、よう考えてみい」
「そうだけど! それ、なんであたしだけ!?」
うつむいた顔を上げもせず、あたしは声を荒げた。
「それって、おかしくない!? あたしだけが貧乏くじ引くのって変だよ!」
だって、あたしが門川君の護衛役になったのは、門川君と想いが通じ合っていたからだよ!
だからこそ、『自分の命を盾にしても一生お互いを守り続ける』って誓い合ったんだ。
なのに、この仕打ちはどうよ!?
プロポーズされて、勝手に婚約発表されたかと思ったら、直後にひとりぼっちにされちゃって。
黙って耐えて待ったあげくに、彼はサッサと美人と逃避行。おまけに目の前で、あんなキメ台詞まで聞かされちゃって。
こんな好き勝手されながら、あたしだけが律儀に誓いを守んなきゃなんないわけ!?
バカ正直もいいとこじゃん! いや、バカ正直っていうよりそれもう、ただの純正バカ!
一番弱い部分を、容赦なく突かれてギクリとした。
指摘されたくなかったことを、そのものズバリ指摘されて、バツが悪くてたまらない。
叱られた子どもみたいな、こんなミジメな自分をみんなに見られているのがつらくて、ますます下を向いた。
「帰っちゃ……悪い?」
アスファルトに座り込んだまま、両手をギュッと握りしめて、あたしはふて腐れた声でボソッとつぶやいた。
絹糸がそんなあたしに、ひどく真面目に答える。
「お前は永久の護衛役じゃろうが」
「そうだけど……」
「おのれで決めたことには、責任を持て」
「そうだけど」
「何のために自分がここにいるのかを、よう考えてみい」
「そうだけど! それ、なんであたしだけ!?」
うつむいた顔を上げもせず、あたしは声を荒げた。
「それって、おかしくない!? あたしだけが貧乏くじ引くのって変だよ!」
だって、あたしが門川君の護衛役になったのは、門川君と想いが通じ合っていたからだよ!
だからこそ、『自分の命を盾にしても一生お互いを守り続ける』って誓い合ったんだ。
なのに、この仕打ちはどうよ!?
プロポーズされて、勝手に婚約発表されたかと思ったら、直後にひとりぼっちにされちゃって。
黙って耐えて待ったあげくに、彼はサッサと美人と逃避行。おまけに目の前で、あんなキメ台詞まで聞かされちゃって。
こんな好き勝手されながら、あたしだけが律儀に誓いを守んなきゃなんないわけ!?
バカ正直もいいとこじゃん! いや、バカ正直っていうよりそれもう、ただの純正バカ!