神様修行はじめます! 其の五
「みんなが戻らないって言うなら、あたしひとりで戻るから!」
「小娘よ、子どもじみたことを言うでない」
「あたしまだ子どもだもん! 高校生だもん! 未成年だもん選挙権すら与えられてないもん!」
門川君への切ない想い。果たすべき重い責任。
自分自身への強い苛立ち。水園さんの影に怯える心。
こんなの、あたしには抱えきれないよ。
消化しきれない感情と、対処しきれない状況の複雑さに、キャパ越えした頭はどうしようもなくて、もう大爆発してしまいそうだ。
もう嫌だ! もうなにも考えたくない!
このまま目ぇ瞑って下向いて、さっさとここから立ち去ってやるんだ!
「アマンダ、お待ちになって!」
「止めないで、お岩さん!」
制止するお岩さんの声が聞こえたけれど、あたしは涙で滲む目をギュッと瞑ったまま、思い切り走り出した。
ごめんお岩さん! 弱虫なあたしを許して!
「どうかこのまま行かせてー!」
「行かせませんわ――!」
―― ガッゴ――――ン!
「ぐえ!?」
アゴの下に謎の衝撃を受けたあたしは、その反動で勢いよく仰向けに引っくり返る。
そしてアスファルトに後頭部を強打して、目から火花がブッ飛んだ!
「痛あぁぁ――!」
「うわあ!? あ、天内さん大丈夫ですか!?」
「里緒殿!? 大丈夫でおじゃるか!?」
大丈夫もなにも、なにが起こったのか、わけがわかりましぇん……?
倒れた状態で両目をパッチリ開いたら、見上げた夜空に星が瞬いていた。
激痛の走る後頭部をなでさすりながら首をもたげると、ドレス姿のお岩さんが、めいっぱい両腕を横に広げて仁王立ちしている。
……あ、わかった。謎の衝撃の正体。
あたし、お岩さんのあの腕に、思いっ切りアゴ引っ掛けちゃったんだ。
…………。
「ヒドイよお岩さんー!」
「行かせないと忠告しましたわ!」
「だからって、ラリアットすることないじゃん!」
シロートがこんな危険なプロレス技して、命に別状あったらどうしてくれんの!?
「小娘よ、子どもじみたことを言うでない」
「あたしまだ子どもだもん! 高校生だもん! 未成年だもん選挙権すら与えられてないもん!」
門川君への切ない想い。果たすべき重い責任。
自分自身への強い苛立ち。水園さんの影に怯える心。
こんなの、あたしには抱えきれないよ。
消化しきれない感情と、対処しきれない状況の複雑さに、キャパ越えした頭はどうしようもなくて、もう大爆発してしまいそうだ。
もう嫌だ! もうなにも考えたくない!
このまま目ぇ瞑って下向いて、さっさとここから立ち去ってやるんだ!
「アマンダ、お待ちになって!」
「止めないで、お岩さん!」
制止するお岩さんの声が聞こえたけれど、あたしは涙で滲む目をギュッと瞑ったまま、思い切り走り出した。
ごめんお岩さん! 弱虫なあたしを許して!
「どうかこのまま行かせてー!」
「行かせませんわ――!」
―― ガッゴ――――ン!
「ぐえ!?」
アゴの下に謎の衝撃を受けたあたしは、その反動で勢いよく仰向けに引っくり返る。
そしてアスファルトに後頭部を強打して、目から火花がブッ飛んだ!
「痛あぁぁ――!」
「うわあ!? あ、天内さん大丈夫ですか!?」
「里緒殿!? 大丈夫でおじゃるか!?」
大丈夫もなにも、なにが起こったのか、わけがわかりましぇん……?
倒れた状態で両目をパッチリ開いたら、見上げた夜空に星が瞬いていた。
激痛の走る後頭部をなでさすりながら首をもたげると、ドレス姿のお岩さんが、めいっぱい両腕を横に広げて仁王立ちしている。
……あ、わかった。謎の衝撃の正体。
あたし、お岩さんのあの腕に、思いっ切りアゴ引っ掛けちゃったんだ。
…………。
「ヒドイよお岩さんー!」
「行かせないと忠告しましたわ!」
「だからって、ラリアットすることないじゃん!」
シロートがこんな危険なプロレス技して、命に別状あったらどうしてくれんの!?