神様修行はじめます! 其の五
胸元から頭を出している絹糸が答えた。
「上位の名門一族は、そうそう変わるものではない。多少の入れ替わりはあれどもな」
「昔から、ずっと同じ一族たちばかりが、上位に居座り続けている……ってこと?」
「そうじゃ。上位になればなるほど、下位の一族がその座に取って代わるのは難しいからのぅ」
うん、そりゃそうだ。
現世だってそうだもん。政治家とかさ、名門一族がずーっと昔から政界に居座り続けているし。
長い時間が経てば経つほど、固定されてしまったものは、動かなくなっちゃうもんだ。
「そして上位の一族たちは、自分たちの体面を重要視する。婚姻に関しても、『格』にこだわるのじゃ」
格? ……あぁ、なるほど。
「『うちの息子の嫁は、◯◯家くらいの娘さんじゃなきゃ、釣り合いがとれないザーマスわぁ』ってやつ?」
「そう。その、ザーマスじゃ。結果として狭い範囲の一族同士での婚姻ばかりが、繰り返されることになる」
絹糸は、地味男に向かってチラリと視線を投げた。
「そういうことを言いたいのであろう? お前は」
「左様にございます」
頭を下げたまま、地味男が淡々と答えた。
背中で一本にまとめられた地味男の長い髪を、絹糸の金色の目がじっと見つめている。
綺麗なアーモンド型の両目が、なにかの含みを持つように、意味深に細められた。
「親子・兄弟間などの極端な例ではないにせよ、限られた一族同士ばかりが、長期間にわたって婚姻を繰り返していれば……」
「おのずと、血は濃くなってしまう。ということか」
地味男に最後まで言わせず、門川君が受けた。
「上位の名門一族は、そうそう変わるものではない。多少の入れ替わりはあれどもな」
「昔から、ずっと同じ一族たちばかりが、上位に居座り続けている……ってこと?」
「そうじゃ。上位になればなるほど、下位の一族がその座に取って代わるのは難しいからのぅ」
うん、そりゃそうだ。
現世だってそうだもん。政治家とかさ、名門一族がずーっと昔から政界に居座り続けているし。
長い時間が経てば経つほど、固定されてしまったものは、動かなくなっちゃうもんだ。
「そして上位の一族たちは、自分たちの体面を重要視する。婚姻に関しても、『格』にこだわるのじゃ」
格? ……あぁ、なるほど。
「『うちの息子の嫁は、◯◯家くらいの娘さんじゃなきゃ、釣り合いがとれないザーマスわぁ』ってやつ?」
「そう。その、ザーマスじゃ。結果として狭い範囲の一族同士での婚姻ばかりが、繰り返されることになる」
絹糸は、地味男に向かってチラリと視線を投げた。
「そういうことを言いたいのであろう? お前は」
「左様にございます」
頭を下げたまま、地味男が淡々と答えた。
背中で一本にまとめられた地味男の長い髪を、絹糸の金色の目がじっと見つめている。
綺麗なアーモンド型の両目が、なにかの含みを持つように、意味深に細められた。
「親子・兄弟間などの極端な例ではないにせよ、限られた一族同士ばかりが、長期間にわたって婚姻を繰り返していれば……」
「おのずと、血は濃くなってしまう。ということか」
地味男に最後まで言わせず、門川君が受けた。