神様修行はじめます! 其の五
そんなこんなの大騒ぎの後、みんな揃って屋敷を出たら、ちょうど通学通勤ラッシュが落ち着いた時間帯だった。
おかげで、
『女子高生と、男子中学生と、モデル風イケメンと、中年サラリーマンと、元ヤンキーと、白ネコ親子』
という、なんとも異様なグループがゾロゾロ列をなして歩いても、それほど注目されずに済んだ。
「天内さん! このいっぱい走っているのって、ひょっとして現世の伝書亀ですか!?」
「違うよ凍雨くん。これは自動車。伝書亀っていうより馬車みたいなものだよ」
「うおぉ!? 里緒殿、怪鳥が奇声を発しながら飛んでいるでおじゃる!」
「あれはヘリコプター。って、お岩さん興奮して追いかけていかないで。セバスチャンさんは立ち止まってスケッチしないで」
「滅火の娘よ、風呂敷を持っていたら貸してくれ」
「クレーターさんは、目に付いた物を片っ端からポケットに入れないで! どこまで手癖悪いの!?」
この集団を引率して歩いてるだけで、すっげー神経擦り切れるんですけど!
ゼエゼエ息を切らしていたら、塀の上をヒョイヒョイ歩いていた絹糸の歩みがピタリと止まった。
「どしたの絹糸? 門川君の気配が見つかった?」
「現世は雑多な気配が多すぎる。だが今ほんの一瞬、異質な気配が……」
途中で言葉を切った絹糸のヒゲがピンッと張りつめ、金色の目の鋭さがギラッと増した。
「絹糸?」
「シッ。少し黙れ」
背筋を伸ばした姿勢のまま、絹糸はピクリとも動かなくなった。
瞬きもしない両目が、絹糸にしか感じ取れない空気中に漂う『何か』を探している。
おかげで、
『女子高生と、男子中学生と、モデル風イケメンと、中年サラリーマンと、元ヤンキーと、白ネコ親子』
という、なんとも異様なグループがゾロゾロ列をなして歩いても、それほど注目されずに済んだ。
「天内さん! このいっぱい走っているのって、ひょっとして現世の伝書亀ですか!?」
「違うよ凍雨くん。これは自動車。伝書亀っていうより馬車みたいなものだよ」
「うおぉ!? 里緒殿、怪鳥が奇声を発しながら飛んでいるでおじゃる!」
「あれはヘリコプター。って、お岩さん興奮して追いかけていかないで。セバスチャンさんは立ち止まってスケッチしないで」
「滅火の娘よ、風呂敷を持っていたら貸してくれ」
「クレーターさんは、目に付いた物を片っ端からポケットに入れないで! どこまで手癖悪いの!?」
この集団を引率して歩いてるだけで、すっげー神経擦り切れるんですけど!
ゼエゼエ息を切らしていたら、塀の上をヒョイヒョイ歩いていた絹糸の歩みがピタリと止まった。
「どしたの絹糸? 門川君の気配が見つかった?」
「現世は雑多な気配が多すぎる。だが今ほんの一瞬、異質な気配が……」
途中で言葉を切った絹糸のヒゲがピンッと張りつめ、金色の目の鋭さがギラッと増した。
「絹糸?」
「シッ。少し黙れ」
背筋を伸ばした姿勢のまま、絹糸はピクリとも動かなくなった。
瞬きもしない両目が、絹糸にしか感じ取れない空気中に漂う『何か』を探している。