神様修行はじめます! 其の五
 ……ところが、雨あられのように体を叩きつけるはずの、土砂の痛みをぜんぜん感じない。


 不思議に思って見てみれば、あたしの体全体を結界が包み込んでいて、凄まじい崩落から守ってくれていた。


 これ、マロさんの結界だ! きっと崩落した瞬間にみんなに結界を張ってくれたんだ!


 うおおぉ、すんげーよ! マロさんって最近メキメキ腕が上がってない!?


 ちょっと安心したけれど、でも基本的に結界って衝撃は防いでくれても、落下は防げないわけで。


 結局は崩れ落ちる土砂に巻き込まれながら、あたしは転がるボールのようにゴロゴロと地下へ落ちていった。


 うおお、落ちる落ちる! 回る回る! なんか、ハムスターボールの回転についていけなくて自滅してるジャンガリアンな気分!


 これってどこまで落ちてくのー!?


 長かったのか、それともほんの短時間のことだったのか、落ちている間の時間の感覚は曖昧だった。


 実際にどれくらいの深さまで落ちたのか判断できないまま、いつの間にか落下が止まっていることに気づく。


 滝のように降り注ぎ続けた土砂も収まって、さっきまでの嵐のような騒々しさと振動が嘘みたいに、不気味にシーンと静まり返っている。


 結界に守られた状態で地べたに横たわりながら、あたしはソロソロと顔を上げた。


 周りの様子や仲間の安否を窺おうとしたけれど、ここまで日の光が届かないらしくて、真っ暗で視界が効かない。


 上を見上げたら、白くて小さな丸い穴が見える。あれ、きっとあたしたちが落ちてきた穴だな。


 かなり巨大な穴なのにあんなに小さく見えるなんて、だいぶ下まで落とされちゃったみたい。


 どうしよう。これ、どーやって上まで上がるんだ?


 とりあえず暗闇に目が慣れるのを待ってから、みんなと合流して……。


 そう考えたとき、いきなり自分のすぐ真後ろに感じた恐ろしい気配に、あたしの全身がゾワリと総毛立った。
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