神様修行はじめます! 其の五
あ、自分いま、空飛んでる。と認識した次の瞬間、すさまじい衝撃を背中に感じて呼吸が止まった。
グキッというか、ぼきぃっというか、その中間みたいな音が背中から聞こえて、頭から血の気が引く。
まさか、折れた?
たぶんフッ飛ばされた勢いで、土砂の壁に激突したんだろう。あたしの体はそのまま落下し、地面にベシャリと倒れた。
背中の激痛に加え、落下した際の衝撃で腰と足にもすごい激痛が走って、ドッと脂汗が吹き出る。
「ぐうぅー」と熊みたいな低い唸り声を上げて、あたしは目に涙をにじませながら必死に歯を食いしばった。
痛い痛い! やっぱりこれ、背中の骨がどっか折れてる。だってぜんぜん動けない!
激痛のあまり、勝手に涙がボロボロ零れ落ちてくる。
泣き顔でひぃひぃ悶絶するばかりのあたしに向かって、ふたつの月が音もなくスーッと近寄ってきた。
ギクリと震えるあたしのほんの数メートル上の高さで、月がピタリと動きを止める。
いまにも、異形の息遣いが感じ取れそうなほどの至近距離。
腹の底からゾォーッと恐怖が浮かんで、体中に粟のような鳥肌が立ち、脂汗が冷えた。
不気味に煌々と光る異形の両目によって、薄ボンヤリとその顔形が見てとれる。
やっぱりデカイ。顔の大きさだけで、教室の壁一面くらいの面積はあるみたい。
皮膚は岩のようなもので覆われているみたいで、両目は美しく輝いてはいても、なぜか意思らしきものはまったく感じられなかった。
それでもコイツの考えていることは分かる。目の前の獲物を逃す気はないってことは。
命の危機を感じながら、痛みのせいで意識が遠のく。遠のきながらも、痛みが激しすぎて失神できない。
ユラリと大きく空気が動いて、異形が口を開く気配が伝わる。
涙で霞む目に鈍い光が走り、薄れる意識の中でそれでも精一杯、あたしは死の恐怖と戦っていた。
グキッというか、ぼきぃっというか、その中間みたいな音が背中から聞こえて、頭から血の気が引く。
まさか、折れた?
たぶんフッ飛ばされた勢いで、土砂の壁に激突したんだろう。あたしの体はそのまま落下し、地面にベシャリと倒れた。
背中の激痛に加え、落下した際の衝撃で腰と足にもすごい激痛が走って、ドッと脂汗が吹き出る。
「ぐうぅー」と熊みたいな低い唸り声を上げて、あたしは目に涙をにじませながら必死に歯を食いしばった。
痛い痛い! やっぱりこれ、背中の骨がどっか折れてる。だってぜんぜん動けない!
激痛のあまり、勝手に涙がボロボロ零れ落ちてくる。
泣き顔でひぃひぃ悶絶するばかりのあたしに向かって、ふたつの月が音もなくスーッと近寄ってきた。
ギクリと震えるあたしのほんの数メートル上の高さで、月がピタリと動きを止める。
いまにも、異形の息遣いが感じ取れそうなほどの至近距離。
腹の底からゾォーッと恐怖が浮かんで、体中に粟のような鳥肌が立ち、脂汗が冷えた。
不気味に煌々と光る異形の両目によって、薄ボンヤリとその顔形が見てとれる。
やっぱりデカイ。顔の大きさだけで、教室の壁一面くらいの面積はあるみたい。
皮膚は岩のようなもので覆われているみたいで、両目は美しく輝いてはいても、なぜか意思らしきものはまったく感じられなかった。
それでもコイツの考えていることは分かる。目の前の獲物を逃す気はないってことは。
命の危機を感じながら、痛みのせいで意識が遠のく。遠のきながらも、痛みが激しすぎて失神できない。
ユラリと大きく空気が動いて、異形が口を開く気配が伝わる。
涙で霞む目に鈍い光が走り、薄れる意識の中でそれでも精一杯、あたしは死の恐怖と戦っていた。