神様修行はじめます! 其の五
異形の巨体が雷の熱に晒され、瞬く間に轟々と燃え盛る。
それはまるで、巨大な篝火のよう。暗かった空間が一気に明るくなって、あたしはやっと状況を把握することができた。
崩落によって出来た地下空間は、どうやら体育館ほどの大きさがあるみたい。
でも形はすごくいびつで、まるで子どもが砂場にスコップで掘った穴みたいだ。
いまにも土砂の壁が崩れ落ちそうな不安定な舞台の中央付近で、あたしから異形を引き離したしま子が単身、戦っている。
しま子の体は通常よりも一回り大きく、全身から鋭いトゲが突き出し、恐ろしい臭気が発散されていた。
これは鬼神の状態。鬼としての、しま子本来の姿だ。
どうやら打ち出の小槌の『元に戻る作用』のおかげで、鬼本来の姿に戻ってしまったらしい。
でもそれよりなにより、あたしの度胆をぬいたのは、篝火に包まれた異形の姿だ。
実に不思議なその姿は、薄れかけていたあたしの意識を、一瞬で引き戻すのに充分なほど奇異だった。
「……亀?」
それは、恐竜クラスの巨大な亀、のような異形だった。
ゴツゴツと角ばった顔は固いウロコで覆われて、爬虫類特有の無表情。
山のような甲羅を背負う超巨体を支える四肢は、亀には不釣り合いなほど長くて逞しく、まるで獣だ。
そして異常なほど長い尾は、なんと大蛇。
なにより一番驚いたのは、すさまじい勢いで燃え盛る炎に包まれながらも、平然としているその様子だった。
「あれ、なに……?」
「古代種じゃ」
地べたに横たわったまま目を丸しているあたしの足元に、神獣の姿をした絹糸がヒラリと降り立った。
それはまるで、巨大な篝火のよう。暗かった空間が一気に明るくなって、あたしはやっと状況を把握することができた。
崩落によって出来た地下空間は、どうやら体育館ほどの大きさがあるみたい。
でも形はすごくいびつで、まるで子どもが砂場にスコップで掘った穴みたいだ。
いまにも土砂の壁が崩れ落ちそうな不安定な舞台の中央付近で、あたしから異形を引き離したしま子が単身、戦っている。
しま子の体は通常よりも一回り大きく、全身から鋭いトゲが突き出し、恐ろしい臭気が発散されていた。
これは鬼神の状態。鬼としての、しま子本来の姿だ。
どうやら打ち出の小槌の『元に戻る作用』のおかげで、鬼本来の姿に戻ってしまったらしい。
でもそれよりなにより、あたしの度胆をぬいたのは、篝火に包まれた異形の姿だ。
実に不思議なその姿は、薄れかけていたあたしの意識を、一瞬で引き戻すのに充分なほど奇異だった。
「……亀?」
それは、恐竜クラスの巨大な亀、のような異形だった。
ゴツゴツと角ばった顔は固いウロコで覆われて、爬虫類特有の無表情。
山のような甲羅を背負う超巨体を支える四肢は、亀には不釣り合いなほど長くて逞しく、まるで獣だ。
そして異常なほど長い尾は、なんと大蛇。
なにより一番驚いたのは、すさまじい勢いで燃え盛る炎に包まれながらも、平然としているその様子だった。
「あれ、なに……?」
「古代種じゃ」
地べたに横たわったまま目を丸しているあたしの足元に、神獣の姿をした絹糸がヒラリと降り立った。