神様修行はじめます! 其の五
「絹糸、無事、だったの? みんな、は?」
「姿が見えぬ。おそらくは土砂の下に埋もれているのであろう。我は運良く埋まらずに済んだがな」
「そんな……みんな、大丈夫、かな?」
「心配ない。典雅の結界に守られている。それよりも、どうやらお前の方が問題じゃな」
しま子と異形が戦う様子をじっと見守っている絹糸が、チラリとあたしを見た。
「うん、痛い。背骨、やっちゃった、みたい」
しゃべることすら苦痛を伴う激痛。口を開けばヒィヒイ泣いちゃいそうで、プライドだけで必死に堪えている。
さっきから起き上がろうとはしているんだけど、下半身の感覚がぜんぜん無いんだ。
「これ、ひょっとして、半身不随、とか?」
「案ずるな。我が子ならばすぐに治せる。じゃが我が子を掘り起こす前に、あの異形を片付けねばならぬの」
「あいつ、なんなの? 古代種って?」
「我と同類じゃよ」
バチバチと音を立てて燃え盛る山のような篝火の中で、泰然とする異形。
その様子を眺める絹糸の表情は厳しく、深刻そうだ。
「数千年も前に存在した種。我と同じく、人によって神格化までされた異形じゃよ」
「じゃあ、神獣なの?」
どうりで。そう聞いて納得だ。
亀の体と、獣の足。ヘビの尾を持つ奇怪極まるその姿は、珍妙を通り越して神秘性すら漂って見える。
見るからに神々しくて美しい絹糸とは違った意味で別格で、並外れて原始的で、強烈な生命力が感じられた。
「だがあれは本来、いるはずのない異形なのじゃ」
絹糸の低い声が、不穏に響く。
「え? どういう、意味?」
「あの異形はもうすでに、絶滅した」
「え?」
「遥か昔に、この世から消滅してしまった種なのじゃ。もはや骨や塵すら存在しておらぬ。あの異形がこの世に現れるなど、あり得ぬのじゃよ」
「姿が見えぬ。おそらくは土砂の下に埋もれているのであろう。我は運良く埋まらずに済んだがな」
「そんな……みんな、大丈夫、かな?」
「心配ない。典雅の結界に守られている。それよりも、どうやらお前の方が問題じゃな」
しま子と異形が戦う様子をじっと見守っている絹糸が、チラリとあたしを見た。
「うん、痛い。背骨、やっちゃった、みたい」
しゃべることすら苦痛を伴う激痛。口を開けばヒィヒイ泣いちゃいそうで、プライドだけで必死に堪えている。
さっきから起き上がろうとはしているんだけど、下半身の感覚がぜんぜん無いんだ。
「これ、ひょっとして、半身不随、とか?」
「案ずるな。我が子ならばすぐに治せる。じゃが我が子を掘り起こす前に、あの異形を片付けねばならぬの」
「あいつ、なんなの? 古代種って?」
「我と同類じゃよ」
バチバチと音を立てて燃え盛る山のような篝火の中で、泰然とする異形。
その様子を眺める絹糸の表情は厳しく、深刻そうだ。
「数千年も前に存在した種。我と同じく、人によって神格化までされた異形じゃよ」
「じゃあ、神獣なの?」
どうりで。そう聞いて納得だ。
亀の体と、獣の足。ヘビの尾を持つ奇怪極まるその姿は、珍妙を通り越して神秘性すら漂って見える。
見るからに神々しくて美しい絹糸とは違った意味で別格で、並外れて原始的で、強烈な生命力が感じられた。
「だがあれは本来、いるはずのない異形なのじゃ」
絹糸の低い声が、不穏に響く。
「え? どういう、意味?」
「あの異形はもうすでに、絶滅した」
「え?」
「遥か昔に、この世から消滅してしまった種なのじゃ。もはや骨や塵すら存在しておらぬ。あの異形がこの世に現れるなど、あり得ぬのじゃよ」