神様修行はじめます! 其の五
「あの、天内さん。感動の場面を邪魔するみたいで悪いんですけど、あの亀どうしましょう?」
ヒシッと抱き合いながら涙ぐむあたしとしま子の横で、凍雨くんが、引っくり返った異形を指さしている。
地面に固定された異形は、四肢や尾をジタバタと蠢かせ、なんとか起き上がろうと頑張っているようだ。
どうせそいつ、死ねないんでしょ? そこで未来永劫、地球が終わる日まで引っくり返っていればいいよ。
「穴が閉じたらそのまま生き埋めになるだろうし、ちょうどいいんじゃない?」
「そうはまいりません。しばらくすれば、自力で起き上がります」
「え? 亀って引っくり返ったら、一生起き上がれないんじゃないの?」
「それは一部の亀だけです。わたくしめの蔦の拘束も、この異形相手ではそう長くもたないでしょう」
へー、そうなのか。亀って自分の力で起き上がれるのか。知らなかった。
それはともかく、じゃあどうしようか。
コイツが復活したらまた校庭を崩落させる迷惑行為に走るだろう。でも死なないんだから、斃すこともできない。
「こんなデカイ廃棄物、捨てるにしたって引き取り手もないしね」
「ならばとりあえず、こうすればどうだ?」
言うなりクレーターさんがスタスタと異形に近づいて行くのを見て、あたしは慌てて大声を出した。
ちょっとクレーターさんてば、なんて大胆な! 現世に来てから、やたらと肝が据わりすぎてない!?
「いくら縛られてるからって危な……わあ!?」
異形の巨体を真っ白な煙がモクモクと覆って、あっという間に掻き消える。
そして、煙の消えた地面の上に現れたのは……
「り、リクガメの、赤ちゃん?」
薄茶色の甲羅の模様も初々しい、親指と人さし指でヒョイッとつまみ上げられそうなほど、ちっこい亀。
口を一文字にクッと結んだチビ亀が、薄金色の丸い瞳でジーッとあたしたちを見上げていた。
クレーターさんたら、打ち出の小槌で小さくしちゃったんだ!
ヒシッと抱き合いながら涙ぐむあたしとしま子の横で、凍雨くんが、引っくり返った異形を指さしている。
地面に固定された異形は、四肢や尾をジタバタと蠢かせ、なんとか起き上がろうと頑張っているようだ。
どうせそいつ、死ねないんでしょ? そこで未来永劫、地球が終わる日まで引っくり返っていればいいよ。
「穴が閉じたらそのまま生き埋めになるだろうし、ちょうどいいんじゃない?」
「そうはまいりません。しばらくすれば、自力で起き上がります」
「え? 亀って引っくり返ったら、一生起き上がれないんじゃないの?」
「それは一部の亀だけです。わたくしめの蔦の拘束も、この異形相手ではそう長くもたないでしょう」
へー、そうなのか。亀って自分の力で起き上がれるのか。知らなかった。
それはともかく、じゃあどうしようか。
コイツが復活したらまた校庭を崩落させる迷惑行為に走るだろう。でも死なないんだから、斃すこともできない。
「こんなデカイ廃棄物、捨てるにしたって引き取り手もないしね」
「ならばとりあえず、こうすればどうだ?」
言うなりクレーターさんがスタスタと異形に近づいて行くのを見て、あたしは慌てて大声を出した。
ちょっとクレーターさんてば、なんて大胆な! 現世に来てから、やたらと肝が据わりすぎてない!?
「いくら縛られてるからって危な……わあ!?」
異形の巨体を真っ白な煙がモクモクと覆って、あっという間に掻き消える。
そして、煙の消えた地面の上に現れたのは……
「り、リクガメの、赤ちゃん?」
薄茶色の甲羅の模様も初々しい、親指と人さし指でヒョイッとつまみ上げられそうなほど、ちっこい亀。
口を一文字にクッと結んだチビ亀が、薄金色の丸い瞳でジーッとあたしたちを見上げていた。
クレーターさんたら、打ち出の小槌で小さくしちゃったんだ!