神様修行はじめます! 其の五
「絹糸、コイツ意思がないんだよね? なのに本当にお岩さんに使役されているの?」
「本能の固まりのような存在じゃからのぅ。逆に、岩の術のエジキになりやすいのじゃろうて」
「エジキじゃありませんわ! って、意思がないってどういう意味ですの?」
「その異形の目を見たであろう?」
「ええ、月のように綺麗な色をしていましたわ」
「そうじゃ。月じゃ。これは憶測じゃが、もしかすると……」
とつぜんキィィンと、鼓膜を耳の外まで引っ張り出されるような不快な音が響いた。
薄暗い深穴をボッと照らすような白い光が地面に浮かび、みんなの視線がそちらに集中する。
光の中に墨色の梵字がサラサラと浮かび上がるのを見たあたしたちは、ハッと息を飲んだ。
これは転移の宝珠だ! あちら側の誰かが希少な宝物を使って、ここに現れようとしている!
誰? こんな宝物を扱えるなんて、特権階級の連中に決まってる。
まさか上層部!? うわ、ついに門川君失踪事件がバレた!?
それとも、勝手に現世に来たみんなを捕まえに来たの!?
「みんな、早く隠れて……って、隠れる場所ないし! こうなったらクレーターさん、みんなをその打ち出の小槌でミニマム化して!」
叫び終わらないうちに、宝珠の術式の中心に、ふたつの人影が現れてしまった。
ギクリと震えたあたしは、そこに現れた見知った人物を見て、大声を張り上げた。
「じ、地味男――!?」
「す、水園――!?」
あたしと息ピッタリのタイミングで、クレーターさんも叫んだ。
なんと姿を現した人物は水園さんと、その妹である水晶さんの恋人の、成重だった。
「本能の固まりのような存在じゃからのぅ。逆に、岩の術のエジキになりやすいのじゃろうて」
「エジキじゃありませんわ! って、意思がないってどういう意味ですの?」
「その異形の目を見たであろう?」
「ええ、月のように綺麗な色をしていましたわ」
「そうじゃ。月じゃ。これは憶測じゃが、もしかすると……」
とつぜんキィィンと、鼓膜を耳の外まで引っ張り出されるような不快な音が響いた。
薄暗い深穴をボッと照らすような白い光が地面に浮かび、みんなの視線がそちらに集中する。
光の中に墨色の梵字がサラサラと浮かび上がるのを見たあたしたちは、ハッと息を飲んだ。
これは転移の宝珠だ! あちら側の誰かが希少な宝物を使って、ここに現れようとしている!
誰? こんな宝物を扱えるなんて、特権階級の連中に決まってる。
まさか上層部!? うわ、ついに門川君失踪事件がバレた!?
それとも、勝手に現世に来たみんなを捕まえに来たの!?
「みんな、早く隠れて……って、隠れる場所ないし! こうなったらクレーターさん、みんなをその打ち出の小槌でミニマム化して!」
叫び終わらないうちに、宝珠の術式の中心に、ふたつの人影が現れてしまった。
ギクリと震えたあたしは、そこに現れた見知った人物を見て、大声を張り上げた。
「じ、地味男――!?」
「す、水園――!?」
あたしと息ピッタリのタイミングで、クレーターさんも叫んだ。
なんと姿を現した人物は水園さんと、その妹である水晶さんの恋人の、成重だった。