神様修行はじめます! 其の五
「確かにそうだな。いまの話は、あくまでも仮定の話。それが原因であるとは断定はできない」


 言われてみれば、その通り。


 地味男が調べたと言っても、本当に常世島の全員をひとり残らず調べたわけじゃないだろう。


 調査だって口頭で聞き込んだだけだろうし、調査の正確さ自体、疑問がある。


「はい。である以上、安直に天内の娘をご正室に定めてしまうわけには、まいりませぬ」


「そ、そうでございますとも当主様!」


「事は重大事項! 決して急いてはなりませぬぞ!」


「可能であるなら、上位一族からの輿入れが最善の案なのですから!」


 そうだそうだと、勢い込んだ同意の声があちこちから聞こえてきた。


 大広間に沈滞していた動揺ムードが、一気に反論ムードに染まっていく。


 おかげでせっかく浮き立っていたあたしの心が、またズンドコ低空飛行になってしまった。


 うぅ、風向きが変わっちゃったよ。


 いままで上機嫌だった風見鶏さんに、いきなりプリッとお尻を向けられちゃった気分……。
< 28 / 587 >

この作品をシェア

pagetop