神様修行はじめます! 其の五
「無論、私の仮定に確証がないことは承知です。ゆえに当主様に、お願いしたき事柄がございます」


 大広間の騒々しさとは対照的に、地味男が物静かな口調でそう切り出した。


 たいして大きな声でもないのに、なぜか不思議と良く通る。……そんな声だった。


「なにとぞ『水絵巻』の使用を、御許可願いたく存じます」


「水絵巻?」
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