神様修行はじめます! 其の五
音の原因を見定めるように、あたしたちは全員そろって顔を上げた。
黒煙を墨汁で塗り固めたような質感の闇空に、たったひとつ、星が瞬いている。
いや、瞬いているっていうより、あれ動いてる?
ううん。動いているっていうより近づいてきてないか?
うんにゃ。近づいてきてるっていうよりも……。
「襲いかかってきてるぅぅー!?」
天に瞬く星のように小さな点にしか見えなかった『それ』が、ジェット機みたいな猛スピードでこっちに向かって突っ込んでくる。
しかも、目視可能な距離に急接近した『それ』の正体が判明した瞬間、あたしは悲鳴を上げてしまった。
「龍――――!?」
神木のように堂々とした長太い体躯。ワニのように裂けた口から覗く鋭い牙。
風に靡くたてがみと、鹿を思わせる隆々とした二本の角。
あれ、龍だ! 間違いなく龍!
巨大な太古の神獣が、月光色の両目を爛々と光らせながら超高速で直滑降してくる!
だめだ! 逃げるも結界もなにも間に合わないー!
―― ドオォォ――ン!
闇を切り裂く閃光が走り、地響きのような雷鳴が空に轟く。
絹糸の放った雷撃の直撃を受けた龍が、その衝撃によって大きく跳ね飛ばされた。
た、助かった! あんなのが真上に落っこちてきたらジェット機の下敷きになるようなもんだった!
もんどり打った龍は素早く身を翻し、雷撃など物ともせずに悠々と夜空へ昇っていく。
「逃がさぬわ!」
変化した絹糸がすかさず飛び上って後を追い、龍の体躯に爪を立てて噛み付いた。
龍も負けじと絹糸の体に己の身体を巻き付けながら、鈍く光る鋭い牙を立てる。
黒い布地を張りつめた空の舞台で、太古の神獣同士が絡み合い、牙を剥き合う様は幻想を見ているようだ。
絹糸の雄々しい咆哮と、空を疾く風の音のような龍の咆哮が夜空に鳴り響いた。
黒煙を墨汁で塗り固めたような質感の闇空に、たったひとつ、星が瞬いている。
いや、瞬いているっていうより、あれ動いてる?
ううん。動いているっていうより近づいてきてないか?
うんにゃ。近づいてきてるっていうよりも……。
「襲いかかってきてるぅぅー!?」
天に瞬く星のように小さな点にしか見えなかった『それ』が、ジェット機みたいな猛スピードでこっちに向かって突っ込んでくる。
しかも、目視可能な距離に急接近した『それ』の正体が判明した瞬間、あたしは悲鳴を上げてしまった。
「龍――――!?」
神木のように堂々とした長太い体躯。ワニのように裂けた口から覗く鋭い牙。
風に靡くたてがみと、鹿を思わせる隆々とした二本の角。
あれ、龍だ! 間違いなく龍!
巨大な太古の神獣が、月光色の両目を爛々と光らせながら超高速で直滑降してくる!
だめだ! 逃げるも結界もなにも間に合わないー!
―― ドオォォ――ン!
闇を切り裂く閃光が走り、地響きのような雷鳴が空に轟く。
絹糸の放った雷撃の直撃を受けた龍が、その衝撃によって大きく跳ね飛ばされた。
た、助かった! あんなのが真上に落っこちてきたらジェット機の下敷きになるようなもんだった!
もんどり打った龍は素早く身を翻し、雷撃など物ともせずに悠々と夜空へ昇っていく。
「逃がさぬわ!」
変化した絹糸がすかさず飛び上って後を追い、龍の体躯に爪を立てて噛み付いた。
龍も負けじと絹糸の体に己の身体を巻き付けながら、鈍く光る鋭い牙を立てる。
黒い布地を張りつめた空の舞台で、太古の神獣同士が絡み合い、牙を剥き合う様は幻想を見ているようだ。
絹糸の雄々しい咆哮と、空を疾く風の音のような龍の咆哮が夜空に鳴り響いた。