神様修行はじめます! 其の五
「文献を読んだわけではないのか? しかし、『道』の気配がすっかり鎮まったようじゃが?」
不思議そうな絹糸に、あたしも同感だ。
文献を見つけられなかったんなら、いったいどうやったんだろう?
その疑問に門川君は、ごく普通の口調で答える。
「隠したわけじゃない。開きかけていた物を、そのまま閉じただけだ」
「うむ? 閉じた?」
「空間転移の応用だよ。あれは異空間同士を開いて繋ぐ行為だ。だから、その逆をすればいい」
……あ、なんか、むずかしー話になってきた。
でも、すでに脳みそがストライキしかけているあたしとは違って、絹糸はちゃんと意味が通じているようだ。
「空間を破るならまだしも、暴走する力場の質量ごと抑え込んで、元通りに閉じたのか? しかも、行ったこともない異形の世界の入り口を?」
「『入り口』と『出口』は繋がっているからな。対極を等しい物とみなして、言霊で定義づけたんだ」
「…………」
「やってみたら出来たんだよ」
口をポカンと開けて、あきれ顔で門川君の話を聞いていた絹糸が、ガクッと頭を垂れて首を振った。
「お前……ほんに化け物か?」
「失敬な。言葉に気をつけてくれ。親しき仲にも礼儀ありだろう」
門川君はメガネのブリッジ部分に人さし指をかけながら、不愉快そうな声を出す。
ふたりの会話の内容は理解できないけど、この絹糸の呆れた様子からして、また門川君がスんゴイことをやらかしたらしい。
セバスチャンさんが門川君を見ながら、『いやはや、脱帽です』といった顔つきで頭を下げた。
不思議そうな絹糸に、あたしも同感だ。
文献を見つけられなかったんなら、いったいどうやったんだろう?
その疑問に門川君は、ごく普通の口調で答える。
「隠したわけじゃない。開きかけていた物を、そのまま閉じただけだ」
「うむ? 閉じた?」
「空間転移の応用だよ。あれは異空間同士を開いて繋ぐ行為だ。だから、その逆をすればいい」
……あ、なんか、むずかしー話になってきた。
でも、すでに脳みそがストライキしかけているあたしとは違って、絹糸はちゃんと意味が通じているようだ。
「空間を破るならまだしも、暴走する力場の質量ごと抑え込んで、元通りに閉じたのか? しかも、行ったこともない異形の世界の入り口を?」
「『入り口』と『出口』は繋がっているからな。対極を等しい物とみなして、言霊で定義づけたんだ」
「…………」
「やってみたら出来たんだよ」
口をポカンと開けて、あきれ顔で門川君の話を聞いていた絹糸が、ガクッと頭を垂れて首を振った。
「お前……ほんに化け物か?」
「失敬な。言葉に気をつけてくれ。親しき仲にも礼儀ありだろう」
門川君はメガネのブリッジ部分に人さし指をかけながら、不愉快そうな声を出す。
ふたりの会話の内容は理解できないけど、この絹糸の呆れた様子からして、また門川君がスんゴイことをやらかしたらしい。
セバスチャンさんが門川君を見ながら、『いやはや、脱帽です』といった顔つきで頭を下げた。