神様修行はじめます! 其の五
「絹糸、獏は夢を食らうと言われているが、どうなんだ?」
あ、門川君の声だ。いつもと変わらない淡々とした声だけど、ほんの少しだけ焦りが感じられる気がする。
あたしのこと、心配してくれてるのかなぁ? へへ。だとしたら嬉しい。
「夢を食うというよりも、相手の記憶を支配するらしい。意識の底に眠っている、当人が思い出したくもないような悪夢を見せたり、大切な記憶を奪い取るらしいのじゃが、よくは分からぬ」
やっぱりどこまでもお気楽なあたしの耳に、絹糸の真剣みを帯びた声が聞こえた。
夢……? 記憶?
あぁ、そうだ。ようやく分かった。この奇妙な感覚の正体。
これは、まさに夢を見ているときの感覚とソックリなんだ。
現実なのに現実じゃない。本当じゃないのに、自分にとっては紛れもない本当。
あの現実と非現実の境目をフワフワ漂うような、そんな曖昧な感覚なんだ。
「では、天内君の今の状況は……?」
門川君の低く抑えた声の奥に、明らかな不安が含まれている。
いけない。あたしがいつまでも倒れているせいで心配かけてる。早く起きなきゃ!
「あたしなら平気だよ、門川君」
元気いっぱいに答えたあたしは、急いで立ち上がろうとした。
そしたら自分でもビックリするぐらい軽々と起き上がることができて、拍子抜けして小首を傾げる。
ありゃ? 動ける動ける。さっきまでの金縛りみたいな感じはなんだったんだろ?
まぁ、動けるんなら、それに越したことはない!
とにかくこれで敵の正体は判明したわけだから、みんなで力を合わせてあの神獣を倒さなきゃ!
「みんな! あのミニ象みたいなヤツを……あれ?」
振り返ったあたしは、キョロキョロと周囲を見回した。
「みんな、どこ? どこに行ったの?」
振り返った先には、誰もいなかった。
あ、門川君の声だ。いつもと変わらない淡々とした声だけど、ほんの少しだけ焦りが感じられる気がする。
あたしのこと、心配してくれてるのかなぁ? へへ。だとしたら嬉しい。
「夢を食うというよりも、相手の記憶を支配するらしい。意識の底に眠っている、当人が思い出したくもないような悪夢を見せたり、大切な記憶を奪い取るらしいのじゃが、よくは分からぬ」
やっぱりどこまでもお気楽なあたしの耳に、絹糸の真剣みを帯びた声が聞こえた。
夢……? 記憶?
あぁ、そうだ。ようやく分かった。この奇妙な感覚の正体。
これは、まさに夢を見ているときの感覚とソックリなんだ。
現実なのに現実じゃない。本当じゃないのに、自分にとっては紛れもない本当。
あの現実と非現実の境目をフワフワ漂うような、そんな曖昧な感覚なんだ。
「では、天内君の今の状況は……?」
門川君の低く抑えた声の奥に、明らかな不安が含まれている。
いけない。あたしがいつまでも倒れているせいで心配かけてる。早く起きなきゃ!
「あたしなら平気だよ、門川君」
元気いっぱいに答えたあたしは、急いで立ち上がろうとした。
そしたら自分でもビックリするぐらい軽々と起き上がることができて、拍子抜けして小首を傾げる。
ありゃ? 動ける動ける。さっきまでの金縛りみたいな感じはなんだったんだろ?
まぁ、動けるんなら、それに越したことはない!
とにかくこれで敵の正体は判明したわけだから、みんなで力を合わせてあの神獣を倒さなきゃ!
「みんな! あのミニ象みたいなヤツを……あれ?」
振り返ったあたしは、キョロキョロと周囲を見回した。
「みんな、どこ? どこに行ったの?」
振り返った先には、誰もいなかった。