神様修行はじめます! 其の五
「偉い人ってさぁ、座って偉そうにしてんのが仕事なんだって思ってた」
でも実際は、ブラック企業顔負けの勤務状況だ。
一族によっては、ホントに威張って座ってるだけの、タヌキの置物みたいな当主もいやがるけど。
「ふむ、我らが少しでも永久を手伝えればよいのじゃが……」
何気なくつぶやいた絹糸の言葉に、あたしは思わず沈黙してしまった。
その空気を察した絹糸が、すかさずフォローする。
「小娘よ、気に病むでない。お前がいま永久のそばにいられぬのは、仕方のないことじゃ」
凍雨君も気遣わしげな目をして、あたしを見つめている。
ふたりとも、あたしの事を心配して傍についていてくれているんだ。
凍雨君なんて、こうしてあたしの部屋で仕事するより、執務室の方が書類も揃ってるからよっぽど効率良いのに。
だからあたしは無理して、ニカッと笑って見せた。
「大丈夫だよ。あたしは平気だよ」
……本当は色々と不安だし、心配だし、寂しいし、すごく辛い。
だってあたしが門川君と引き離されて、まったく会えなくなってしまってから、もう一ヵ月にもなるから。
門川君に……会いたいなぁ……。
心の中で小さな溜め息をつきながら、あたしは視線を上げた。
この間から軒下に飾り始めた赤い風鈴が、風に揺れて風流な音を奏でている。
赤い小さな可愛い金魚柄と、澄んだ音色を、彼と一緒に愛でたいと願いながら、もうこんなに時間が過ぎてしまった。
そもそもの、事の発端になったあの時のことを、あたしはまざまざと思い出すことができる。
あの大広間の、門川定例会議の後で起きた出来事を…………。
でも実際は、ブラック企業顔負けの勤務状況だ。
一族によっては、ホントに威張って座ってるだけの、タヌキの置物みたいな当主もいやがるけど。
「ふむ、我らが少しでも永久を手伝えればよいのじゃが……」
何気なくつぶやいた絹糸の言葉に、あたしは思わず沈黙してしまった。
その空気を察した絹糸が、すかさずフォローする。
「小娘よ、気に病むでない。お前がいま永久のそばにいられぬのは、仕方のないことじゃ」
凍雨君も気遣わしげな目をして、あたしを見つめている。
ふたりとも、あたしの事を心配して傍についていてくれているんだ。
凍雨君なんて、こうしてあたしの部屋で仕事するより、執務室の方が書類も揃ってるからよっぽど効率良いのに。
だからあたしは無理して、ニカッと笑って見せた。
「大丈夫だよ。あたしは平気だよ」
……本当は色々と不安だし、心配だし、寂しいし、すごく辛い。
だってあたしが門川君と引き離されて、まったく会えなくなってしまってから、もう一ヵ月にもなるから。
門川君に……会いたいなぁ……。
心の中で小さな溜め息をつきながら、あたしは視線を上げた。
この間から軒下に飾り始めた赤い風鈴が、風に揺れて風流な音を奏でている。
赤い小さな可愛い金魚柄と、澄んだ音色を、彼と一緒に愛でたいと願いながら、もうこんなに時間が過ぎてしまった。
そもそもの、事の発端になったあの時のことを、あたしはまざまざと思い出すことができる。
あの大広間の、門川定例会議の後で起きた出来事を…………。