神様修行はじめます！ 其の五

「それでも、『望む』ことは『生きる』ことと同意義であると僕は思う」


　門川君はあたしの両肩を掴み、そっと自分の胸からあたしを離した。


　彼の顔には、もう恥じ入っている様子も、迷いも見えなかった。


「僕はキミと生きたい。キミと一緒なら、たとえ叶わぬ夢物語であっても未来に向かって手を伸ばし続ける勇気が持てるんだ」


　冬の朝のように清々しく澄んだ黒い瞳が、真っ直ぐにあたしを見ている。


　初めて出会ったときからあたしを惹きつけて止まない、まるで彼の心のように真っ直ぐな目。


　あぁ、それはなんて……


　美しいのだろう……。


「天内 里緒。僕はキミを愛している。だからなにを犠牲にしたとしても、永遠に僕のそばにいて欲しい」


　美しい瞳が、近づいてくる。


　そして彼の唇が、あたしの唇を捕えた。