神様修行はじめます! 其の五
「な、なんですの!? あの炎のストレートパンチは!」
「異形だよ! あたし、ライバルとして認識されちゃったみたい!」
「アマンダを!? んまあ、それはなかなか見る目のある異形ですこと!」
「ジュエル様、のんきなことを言っている場合ではございません。上をご覧ください」
セバスチャンさんが窓の外を見上げている。
空に向かって伸びる炎の魔の手が、天を突き破らんばかりの勢いで揺らめいているのが見えた。
その空が、なんだか変。電波状態の悪い画像みたいに、ぼわぁんと霞んでいる。
その状態を見た絹糸が舌打ちをした。
「マズイのぅ。このままでは、この屋敷と現世を隔離している異空間が破られるぞ」
「や、破られたら、どうなんの?」
「現世に影響が出る。この勢いの炎が周囲に害を及ぼすのは、間違いない」
げっ! もらい火!? それ、すっごい迷惑行為じゃん!
もらい火で自宅が火災に遭うことくらい、災難なことはないんだよ。
中学のときのクラスメイトの家が、隣の家の出火で燃えちゃって、そのときはもう本っ当に悲惨だったんだから。
「ここら辺のご近所さん、ちゃんと火災保険に入ってるかな? なんかね、保険の種類によっては家財道具とかは保証されないケースもあるらしくて……」
「そこらへんの細かい話は、速水も◯みちにでも相談せい。この炎は普通の炎ではない。おそらく近隣一体、業火の海になるぞ」
「業火の海!? そ、そんな豪快な!」
「人の手で消火することは不可能じゃろう。ここでなんとか食い止めねば、ヘタをすれば町ひとつどころか市が焼き尽される」
ケタの違う被害予想を聞かされたあたしは、顔から血の気が引いた。
そうなったら、どれだけの人が死ぬことになるの!? お父さんもお母さんも、あたしの知ってる人みんなが死んでしまうよ!
「これ絶対、地味男のしわざだよね!?」
「であろうな。この異形は、炎を操る入道(にゅうどう)の古代種であろう」
「入道? なんかそういう名前の妖怪、聞いたことがある気がする」
「異形だよ! あたし、ライバルとして認識されちゃったみたい!」
「アマンダを!? んまあ、それはなかなか見る目のある異形ですこと!」
「ジュエル様、のんきなことを言っている場合ではございません。上をご覧ください」
セバスチャンさんが窓の外を見上げている。
空に向かって伸びる炎の魔の手が、天を突き破らんばかりの勢いで揺らめいているのが見えた。
その空が、なんだか変。電波状態の悪い画像みたいに、ぼわぁんと霞んでいる。
その状態を見た絹糸が舌打ちをした。
「マズイのぅ。このままでは、この屋敷と現世を隔離している異空間が破られるぞ」
「や、破られたら、どうなんの?」
「現世に影響が出る。この勢いの炎が周囲に害を及ぼすのは、間違いない」
げっ! もらい火!? それ、すっごい迷惑行為じゃん!
もらい火で自宅が火災に遭うことくらい、災難なことはないんだよ。
中学のときのクラスメイトの家が、隣の家の出火で燃えちゃって、そのときはもう本っ当に悲惨だったんだから。
「ここら辺のご近所さん、ちゃんと火災保険に入ってるかな? なんかね、保険の種類によっては家財道具とかは保証されないケースもあるらしくて……」
「そこらへんの細かい話は、速水も◯みちにでも相談せい。この炎は普通の炎ではない。おそらく近隣一体、業火の海になるぞ」
「業火の海!? そ、そんな豪快な!」
「人の手で消火することは不可能じゃろう。ここでなんとか食い止めねば、ヘタをすれば町ひとつどころか市が焼き尽される」
ケタの違う被害予想を聞かされたあたしは、顔から血の気が引いた。
そうなったら、どれだけの人が死ぬことになるの!? お父さんもお母さんも、あたしの知ってる人みんなが死んでしまうよ!
「これ絶対、地味男のしわざだよね!?」
「であろうな。この異形は、炎を操る入道(にゅうどう)の古代種であろう」
「入道? なんかそういう名前の妖怪、聞いたことがある気がする」