神様修行はじめます! 其の五
「ゲッ!? マジ!?」


 慌てて前髪を指でつまんだら、ショリショリっていう変な感触がして、ポロポロと崩れ落ちてきてしまった。


 ガ――ン! ショック! 


 あたしもう生きていけないじゃん! 前髪ってのは女の子にとって死活問題なんだからね!?


「アマンダ!」


 背後から大きな声で呼びかけられて振り向くと、お岩さんとセバスチャンさんが立っていた。


 お岩さんのドレスはあちこちが黒く煤けちゃってるけど、どうやらふたり共、ケガをしている様子もない。


 お岩さんの背後には、マロさんが座り込んで印を組んでいる。


 両目を閉じて精神集中している様子からして、どうやら結界は継続しているみたいだ。


 クレーターさんと水園さんも一緒にいて、彼らを守るように凍雨くんが立っている。


 凍雨くんが氷の楽園状態になった周囲を見回しながら、感動の面持ちで叫んだ。


「スゴイ! さすがは永久さまだ! ボクこんなの見たことないや!」


 やたら感心してる風の凍雨くんにつられて、もう一度よく目を凝らして見たら……


 氷の中に本来あってはならないものが存在しているのが見えて、あたしも度胆を抜かされてしまった。


「こ、これ……火?」


 なんと、分厚い氷の下に炎が見える。
< 440 / 587 >

この作品をシェア

pagetop