神様修行はじめます! 其の五
 それでも門川君は何を答えるでもなく、淡々とした表情のまま。


 自分の考えを、ここで皆に知られるわけにはいかないからだ。


 セバスチャンさんの出生にまつわる秘密は、すごく深刻だし複雑だから、仲間内にも言えない。


 ましてや水絵巻は、神の一族全体の家宝。私用で使うなんて、もってのほかだ。


 だから決して表沙汰にすることなく、誰にもナイショにしなければならないんだ。


「次に会うときはいつになるか知れないが、塔子殿、くれぐれもお体を大事に」


「は、はい。永久様……」


「典雅殿、僕が留守の間、ここにいる皆のことをよろしく頼む」


「麻呂にお任せあれでおじゃりまする」


「凍雨君、執務の手筈はもう、すべて心得ているね? 頼りにしている」


「はい! 大丈夫です永久様!」


「岩さん、どうか天内君の心の支えになってやってほしい」


「もちろんですわ永久様。アマンダは、わたくしとジュリエッタちゃんが守ります」


「セバスチャン」


「はい」


「あとは頼んだ」


「……承知いたしました」


 セバスチャンさんが胸元に手を添え、恭しく一礼する。


 その頼もしい姿を見た門川君は、安心したように口元を緩めた。
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