神様修行はじめます! 其の五
不意打ちの婚約発表
「皆、しばらくそのままで聞いてほしい」
会議が終わって、帰り支度を始めた当主たちのざわめきを抑えるような、門川君のよく通る声が響き渡った。
上段の間、中段の間、下段の間、合わせて数百畳もある大広間が一瞬で静まり返る。
そして次の瞬間、各一族の代表全員が、申し合せたように息ぴったりにザザーッと平伏した。
……いやぁ~、いつもながら日体大の行進パフォーマンス顔負けのシンクロ率!
この当主たちって、日頃から集団行動のトレーニングでもしてんのかな?
そのわりに自分勝手な連中ばっかりで、集団行動できないヤツばっかりという不思議……。
「極めて私的なことではあるが、僕の立場上そうとばかりも言えぬので、この場を借りて発表したいと思う」
しま子と一緒に、出入り口の襖のそばに正座しながら、あたしは門川君の座る高座の方向を見た。
ん? 私的な発表? なんだろ?
「長らく待たせてしまったが、ようやく僕の花嫁が決定したので紹介しよう。……天内君、僕の隣に来たまえ」
「…………!?」
シーンと静まり返った大広間の端っこで、あたしはピンと背筋を伸ばして硬直してしまった。
会議が終わって、帰り支度を始めた当主たちのざわめきを抑えるような、門川君のよく通る声が響き渡った。
上段の間、中段の間、下段の間、合わせて数百畳もある大広間が一瞬で静まり返る。
そして次の瞬間、各一族の代表全員が、申し合せたように息ぴったりにザザーッと平伏した。
……いやぁ~、いつもながら日体大の行進パフォーマンス顔負けのシンクロ率!
この当主たちって、日頃から集団行動のトレーニングでもしてんのかな?
そのわりに自分勝手な連中ばっかりで、集団行動できないヤツばっかりという不思議……。
「極めて私的なことではあるが、僕の立場上そうとばかりも言えぬので、この場を借りて発表したいと思う」
しま子と一緒に、出入り口の襖のそばに正座しながら、あたしは門川君の座る高座の方向を見た。
ん? 私的な発表? なんだろ?
「長らく待たせてしまったが、ようやく僕の花嫁が決定したので紹介しよう。……天内君、僕の隣に来たまえ」
「…………!?」
シーンと静まり返った大広間の端っこで、あたしはピンと背筋を伸ばして硬直してしまった。