神様修行はじめます! 其の五
「アマンダー、お邪魔しますわよー」
「失礼いたします」
板張りの廊下に衣擦れの音が響いて、障子にふたつの黒い影が映る。
お岩さんとセバスチャンさんが、ふたり揃ってご登場だ。
本日のお岩さんは、ブルーグリーンの柔らかいオーガンジー素材が、ふんわりと広がったドレス。
淡い金色の小さなラメが散りばめられていて、とてもロマンティックなんだけど……。
なぜか胸のど真ん中に堂々と縫い付けられている、大きな象さんワッペンが、すべてのロマンを打ち砕いている……。
「……お岩さん、すごく目立つね、そのワッペン」
「でしょう? これはハインリッヒちゃんへの、わたくしの愛の証ですわ!」
「そういえば元気? マンモスのハインリッヒ君」
「もうすっかり里に馴染みましたわ。重い荷物を運んだり、人を乗せたり、ホレボレする大活躍ですわ!」
お岩さんを慕って、常世島から移ったハインリッヒ君。
権田原で運送業になったのか。新たな人生の一歩を踏み出せて、良かった良かった。
「今日は特に暑いですわねぇ。ジュリエッタちゃんたちが羨ましいですわ」
「そだね、さすがに土の中は涼しいだろうね」
「こう暑いと、巨大ミミズになりたいなぁと思いません? 思いますわよね?」
「いや、思わないけど……」
「岩よ、暑いんだったら、まずお前のその暑苦しい恰好をなんとかせい。頼むから」
「わたくしのポリシーにかかわる問題ですから、死んでもこれは譲れませんわ。ベルベットちゃん」
「我は絹糸じゃ」
いつも通りのお約束の展開。
お岩さんたちが毎回訪ねて来てくれるのも、あたしのことを気遣ってくれているからだ。
ほんと、ありがたいよなぁ……。
「失礼いたします」
板張りの廊下に衣擦れの音が響いて、障子にふたつの黒い影が映る。
お岩さんとセバスチャンさんが、ふたり揃ってご登場だ。
本日のお岩さんは、ブルーグリーンの柔らかいオーガンジー素材が、ふんわりと広がったドレス。
淡い金色の小さなラメが散りばめられていて、とてもロマンティックなんだけど……。
なぜか胸のど真ん中に堂々と縫い付けられている、大きな象さんワッペンが、すべてのロマンを打ち砕いている……。
「……お岩さん、すごく目立つね、そのワッペン」
「でしょう? これはハインリッヒちゃんへの、わたくしの愛の証ですわ!」
「そういえば元気? マンモスのハインリッヒ君」
「もうすっかり里に馴染みましたわ。重い荷物を運んだり、人を乗せたり、ホレボレする大活躍ですわ!」
お岩さんを慕って、常世島から移ったハインリッヒ君。
権田原で運送業になったのか。新たな人生の一歩を踏み出せて、良かった良かった。
「今日は特に暑いですわねぇ。ジュリエッタちゃんたちが羨ましいですわ」
「そだね、さすがに土の中は涼しいだろうね」
「こう暑いと、巨大ミミズになりたいなぁと思いません? 思いますわよね?」
「いや、思わないけど……」
「岩よ、暑いんだったら、まずお前のその暑苦しい恰好をなんとかせい。頼むから」
「わたくしのポリシーにかかわる問題ですから、死んでもこれは譲れませんわ。ベルベットちゃん」
「我は絹糸じゃ」
いつも通りのお約束の展開。
お岩さんたちが毎回訪ねて来てくれるのも、あたしのことを気遣ってくれているからだ。
ほんと、ありがたいよなぁ……。