神様修行はじめます! 其の五
―― ポウ……
地味男の胸元が突然、ぼうっと光り出した。
吐き出された血によって赤く染まった生地が、点々と淡く小さな光を放っている。
呆気にとられて見ていると、その光たちがそれぞれ蛍みたいにフワフワ漂いながら上へ上へと昇っていった。
この光の正体はなに?
「絹糸、この光は異形なの?」
「分からぬ。邪悪な気配は感じられぬが、油断するでないぞ」
警戒するあたしたちの目の前で、まるで意思を持ってるみたいに、光は空中で寄り集まっていく。
そして、ひとつの大きな球体になった。
「なんだかお月さまみたい。すごく綺麗……」
その球体の輝きは、決して派手じゃないけれど、まるで空に浮かぶ月のように穏やかで神秘的。
見るからに美しくて優しげなその様子に、あたしたちは思わず見入ってしまっていた。
そのうちに、薄黄色い光の色彩がどんどん豊かな色合いに変化していく。
たくさんの色が入り混じって、モザイク画みたいにあいまいな模様を見せていたのが、とつぜんパッと鮮明になった。
そこに、ある人物の姿が写真のようにリアルに映り込んでいて、あたしは声を上げる。
「水晶さん!?」
その人物は水晶さんだった。
まだ幼さの見える顔立ちの水晶さんが、橋の欄干に腰掛けて、艶めく前髪を風に吹かれながら微笑んでいる。
この表情、この光景、覚えてる。
これは、地味男が初めて出会ったときの水晶さんの姿じゃないか!
地味男の胸元が突然、ぼうっと光り出した。
吐き出された血によって赤く染まった生地が、点々と淡く小さな光を放っている。
呆気にとられて見ていると、その光たちがそれぞれ蛍みたいにフワフワ漂いながら上へ上へと昇っていった。
この光の正体はなに?
「絹糸、この光は異形なの?」
「分からぬ。邪悪な気配は感じられぬが、油断するでないぞ」
警戒するあたしたちの目の前で、まるで意思を持ってるみたいに、光は空中で寄り集まっていく。
そして、ひとつの大きな球体になった。
「なんだかお月さまみたい。すごく綺麗……」
その球体の輝きは、決して派手じゃないけれど、まるで空に浮かぶ月のように穏やかで神秘的。
見るからに美しくて優しげなその様子に、あたしたちは思わず見入ってしまっていた。
そのうちに、薄黄色い光の色彩がどんどん豊かな色合いに変化していく。
たくさんの色が入り混じって、モザイク画みたいにあいまいな模様を見せていたのが、とつぜんパッと鮮明になった。
そこに、ある人物の姿が写真のようにリアルに映り込んでいて、あたしは声を上げる。
「水晶さん!?」
その人物は水晶さんだった。
まだ幼さの見える顔立ちの水晶さんが、橋の欄干に腰掛けて、艶めく前髪を風に吹かれながら微笑んでいる。
この表情、この光景、覚えてる。
これは、地味男が初めて出会ったときの水晶さんの姿じゃないか!