神様修行はじめます! 其の五
「遥峰よ、執務の方へは寄ってきたのか? 永久の様子は聞けたか?」


「はい。そろそろ本日の検分を終える頃にございましょう」


 宝物庫の近くにある小さな庵が、いまの門川君の住まいらしい。


 立ち入り禁止区域の中、庵と宝物庫を往復するのが、彼の日課だ。


 検分が終わって庵に戻れば、本邸から持ち込まれた大量の書類整理に、ひとりぼっちで追われる日々。


 身の回りの世話は、小浮気一族の中から厳選された人物がしてくれているらしいから、不便はないみたいだけど。


「門川君、みんなと会えなくて寂しくないかな?」


 それが一番心配なんだ。

 彼、複雑な生い立ちのせいで、小さい頃からずっとひとりぼっちだったから。


 隔離されて仲間に会えない状態って、当時のことを思い出して、すっごいストレスなんじゃないかな?


 それを心配した絹糸が、


『接触禁止と言っても、人間に限ったことじゃろう? 我は見ての通り、かわいい無害な白猫じゃから問題ない』


 ってムチャなこと言って、なんとか同伴しようとしたけど、無理だった。


 かわいい生き物がOKなら、しま子も充分イケる!と思ったんだけど、もっと無理だった。


 ハァ……心配。


 前に『ニ◯リ』で見つけた、白猫の抱き枕、せめて門川君の荷物の中に突っこんでおくんだったなぁ……。


「もちろんお寂しいでしょうが、作業は滞りなく進んでいるご様子ですよ?」


「どれくらい進んだかなぁ」


「新たな目録を作らなければならないので、手間取ってはいるようですが、予想よりも早く進んでいるようです」
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