神様修行はじめます! 其の五
あ、それと、クレーターさんと水園さんは……
ふたり揃って、『常世島』に流されることになった。
水園さんの秘密が暴露されて、小浮気一族も当然、大騒動になったわけで。
それで水園さん本人はもちろん、父親であるクレーターさんも『責任を取って当主を引退。同時に島流し』ってことで決着になったらしい。
話を聞いたときは正直言って、『はあ? 責任だぁ? いったいなんの責任だよ?』って、メチャ腹が立った。
けど、当人たちがそれで納得していた。
島に流される日、悲しい気持ちで見送りに行ったら、水園さんは憑き物が落ちたようなサバサバした顔で『これでいいのです』って笑ったんだ。
それでもなんか納得いかなくてブスくれているあたしに、クレーターさんも、
『当主の座など、私はなんの未練もない。かえって心労が減って、これ以上髪の減る心配もなくなるというものだ』
って、明るく笑ってた。
『でもクレーターさん、なんかあたし納得いかないよ』
『滅火の娘よ、世の中には事を収めるために必要な方便というものがあるのだ。これで収まるなら、これが一番良い』
『でもさ……』
『心配は無用だ。私には水園がいる。そして妻も水晶も、ここにいる』
自分の胸を手でしっかりと押さえながら、クレーターさんは力強く言った。
『たとえ水園の秘密を知ったとしても、水晶は自ら生け贄となったろう。あれはそういう、優しい娘だった。その事実を胸に刻んで私は生きていく』
そう語り、クレーターさんと水園さんは皆に別れを告げて常世島へと渡っていった。
蛟一族の失脚によって、今後は宝物作成のための犠牲者を出す心配がなくなった小浮気一族の人たちに、大勢見送られながら。
なんだかんだ言って、ふたりとも一族の人たちに慕われてたんだ。
なら別に島流しになんかしなくてもいいじゃん! ってあたしは思っちゃうんだけど……世の中って『方便』というものはどうしても必要らしい。
見送る人々の涙ぐんでいる目が、せめてもの慰めだった。
で、慣れない島暮らしを送ることになったふたりが、どんな大変な思いをしているかすごく心配してたんだけど……
この前、島の長の浄火から届いた手紙を読んで、その心配はまったく無用だったと分かった。
ふたり揃って、『常世島』に流されることになった。
水園さんの秘密が暴露されて、小浮気一族も当然、大騒動になったわけで。
それで水園さん本人はもちろん、父親であるクレーターさんも『責任を取って当主を引退。同時に島流し』ってことで決着になったらしい。
話を聞いたときは正直言って、『はあ? 責任だぁ? いったいなんの責任だよ?』って、メチャ腹が立った。
けど、当人たちがそれで納得していた。
島に流される日、悲しい気持ちで見送りに行ったら、水園さんは憑き物が落ちたようなサバサバした顔で『これでいいのです』って笑ったんだ。
それでもなんか納得いかなくてブスくれているあたしに、クレーターさんも、
『当主の座など、私はなんの未練もない。かえって心労が減って、これ以上髪の減る心配もなくなるというものだ』
って、明るく笑ってた。
『でもクレーターさん、なんかあたし納得いかないよ』
『滅火の娘よ、世の中には事を収めるために必要な方便というものがあるのだ。これで収まるなら、これが一番良い』
『でもさ……』
『心配は無用だ。私には水園がいる。そして妻も水晶も、ここにいる』
自分の胸を手でしっかりと押さえながら、クレーターさんは力強く言った。
『たとえ水園の秘密を知ったとしても、水晶は自ら生け贄となったろう。あれはそういう、優しい娘だった。その事実を胸に刻んで私は生きていく』
そう語り、クレーターさんと水園さんは皆に別れを告げて常世島へと渡っていった。
蛟一族の失脚によって、今後は宝物作成のための犠牲者を出す心配がなくなった小浮気一族の人たちに、大勢見送られながら。
なんだかんだ言って、ふたりとも一族の人たちに慕われてたんだ。
なら別に島流しになんかしなくてもいいじゃん! ってあたしは思っちゃうんだけど……世の中って『方便』というものはどうしても必要らしい。
見送る人々の涙ぐんでいる目が、せめてもの慰めだった。
で、慣れない島暮らしを送ることになったふたりが、どんな大変な思いをしているかすごく心配してたんだけど……
この前、島の長の浄火から届いた手紙を読んで、その心配はまったく無用だったと分かった。