神様修行はじめます! 其の五
セバスチャンさんは仕事上、執務室の人たちと仲が良い。
本来なら、門川君が宝物庫に出入りする時間の連絡ぐらいしか届かないはずなのに……
ほんのわずかでも、小浮気の世話係りさんから漏れた近況が聞けるのは、そのおかげだ。
「永久様は、お元気に執務をこなしておられます」
「永久のことじゃ。あっという間に検分を終えて、戻って来るであろう」
「そうですわアマンダ。ほんのちょっとの辛抱ですわよ」
「天内さん、辛抱は恋のスパイスです! 会えない時間が愛の黒コショウなんですよ、きっと!」
「凍雨さん、とても含蓄あるお言葉ですけど、それはどういう意味ですの?」
「ボクも意味はわかんないです。でも誰かがそんな風なことを言ってて、なんかカッコ良かったから覚えてました!」
……思わず笑ってしまったあたしの顔を、みんなが嬉しそうに眺めている。
ああ、本当に、ありがたいな。
現世に戻ったままだったら、半年もの長い期間なんて、とても乗り越えられないと思うんだ。
みんな、ありがとうね!
「ご連絡を申し上げます」
いつの間にか、障子の向こうに人影が映っている。
廊下に膝をついて座っている、小浮気一族の連絡担当者が、かしこまった声で告げた。
「永久様が、庵にお戻りになる刻限にございます」
毎日、門川君の動向を、こうして伝えてもらえる。
最後まで聞いてる時間も惜しくて、あたしは勢い込んで質問した。
「門川君は元気? ご飯はちゃんと食べてる? 睡眠とれてる? お風呂入ってる? 風邪ひいたりしてない?」
仕事に没頭すると、生命維持に必要な行為まで削ってしまうのが、彼の悪いクセ。
それで体調崩して、夏風邪ひいてたりしてないかな?
夏風邪はバカがひくものらしいから、門川君は大丈夫だと思うでしょ?
いやいや、どっこい! けっこう隠れバカ要素を持ってるから油断できないんだよ。彼は。
本来なら、門川君が宝物庫に出入りする時間の連絡ぐらいしか届かないはずなのに……
ほんのわずかでも、小浮気の世話係りさんから漏れた近況が聞けるのは、そのおかげだ。
「永久様は、お元気に執務をこなしておられます」
「永久のことじゃ。あっという間に検分を終えて、戻って来るであろう」
「そうですわアマンダ。ほんのちょっとの辛抱ですわよ」
「天内さん、辛抱は恋のスパイスです! 会えない時間が愛の黒コショウなんですよ、きっと!」
「凍雨さん、とても含蓄あるお言葉ですけど、それはどういう意味ですの?」
「ボクも意味はわかんないです。でも誰かがそんな風なことを言ってて、なんかカッコ良かったから覚えてました!」
……思わず笑ってしまったあたしの顔を、みんなが嬉しそうに眺めている。
ああ、本当に、ありがたいな。
現世に戻ったままだったら、半年もの長い期間なんて、とても乗り越えられないと思うんだ。
みんな、ありがとうね!
「ご連絡を申し上げます」
いつの間にか、障子の向こうに人影が映っている。
廊下に膝をついて座っている、小浮気一族の連絡担当者が、かしこまった声で告げた。
「永久様が、庵にお戻りになる刻限にございます」
毎日、門川君の動向を、こうして伝えてもらえる。
最後まで聞いてる時間も惜しくて、あたしは勢い込んで質問した。
「門川君は元気? ご飯はちゃんと食べてる? 睡眠とれてる? お風呂入ってる? 風邪ひいたりしてない?」
仕事に没頭すると、生命維持に必要な行為まで削ってしまうのが、彼の悪いクセ。
それで体調崩して、夏風邪ひいてたりしてないかな?
夏風邪はバカがひくものらしいから、門川君は大丈夫だと思うでしょ?
いやいや、どっこい! けっこう隠れバカ要素を持ってるから油断できないんだよ。彼は。