神様修行はじめます! 其の五
『自分が当主に就任してから、大きな事件ばかりが立て続けに起こっていることが、非常に心苦しい』
『これは自分の不徳の致すところ。神聖な道場に籠り、心身ともに根底から鍛え直してもっと強くなりたい』
って。
で、道場に結界を張って閉じこもって、瞑想しながら自分を鍛えている真っ最中。
……あれ以上強くなってどーすんだか。
「永久さまったら、いつ道場から出ていらっしゃるおつもりですかしらねぇ?」
お岩さんは思案顔で小首を傾げる。
門川君ってとにかく真面目で責任感が強いから、いつも必要以上に思い詰めちゃうんだよなぁ。
そこが彼の長所であり、多少メンドくさいところでもある。
事件が起こるのは門川君のせいじゃないって説得したんだけど、なにしろあの性格だから聞いてくれなくて。
彼がいったん決めたら、テコでも動かないのは身に染みて思い知ってるから、もう諦めて好きにさせることにしたんだ。
道場には絹糸が同行してるから、心配はないだろうし。
門川君がムチャな修行をしそうになっても、ちゃんとストッパー役になってくれるはずだ。
ただ、彼が出てくるまでの間、どうしても執務が滞りがちになってるわけで。
側近の凍雨くんの負担が大変だから、セバスチャンさんがフォローしているんだ。
すごく忙しそうなふたりを、お岩さんはずいぶん心配している。
「大丈夫でおじゃるよ。おふたりも今日の執務は終了したようなので、じきにこちらに来るはずでおじゃるよ」
「なら、典雅様たちはどうぞお先にお屋敷に戻ってくださいな。塔子さんもお疲れでしょう?」
「それではお言葉に甘えて、そうさせていただくでおじゃる。さあさあ塔子、お父ちゃまといっちょに帰りまちゅよー」
あ、マロさん、塔子さんと赤ちゃんをゴッチャにしてる……。
夫を従えた塔子さんと、かいがいしく妻を気遣うマロさんたちが仲良く帰って行くのを見送ってから、あたしとお岩さんは声を上げて笑った。
「見るからに幸せいっぱいですわねぇ」
「ほんとだね」
あの性格の真逆なふたりが結婚するって聞いたときは、破滅の未来しか想像できなくて、どうやって思いとどまらせようか本気で悩んだけど。
世の中、なんとかなるもんだなー。
「夫婦の形も、幸せの形も、愛の形も、人それぞれということですわね」
『これは自分の不徳の致すところ。神聖な道場に籠り、心身ともに根底から鍛え直してもっと強くなりたい』
って。
で、道場に結界を張って閉じこもって、瞑想しながら自分を鍛えている真っ最中。
……あれ以上強くなってどーすんだか。
「永久さまったら、いつ道場から出ていらっしゃるおつもりですかしらねぇ?」
お岩さんは思案顔で小首を傾げる。
門川君ってとにかく真面目で責任感が強いから、いつも必要以上に思い詰めちゃうんだよなぁ。
そこが彼の長所であり、多少メンドくさいところでもある。
事件が起こるのは門川君のせいじゃないって説得したんだけど、なにしろあの性格だから聞いてくれなくて。
彼がいったん決めたら、テコでも動かないのは身に染みて思い知ってるから、もう諦めて好きにさせることにしたんだ。
道場には絹糸が同行してるから、心配はないだろうし。
門川君がムチャな修行をしそうになっても、ちゃんとストッパー役になってくれるはずだ。
ただ、彼が出てくるまでの間、どうしても執務が滞りがちになってるわけで。
側近の凍雨くんの負担が大変だから、セバスチャンさんがフォローしているんだ。
すごく忙しそうなふたりを、お岩さんはずいぶん心配している。
「大丈夫でおじゃるよ。おふたりも今日の執務は終了したようなので、じきにこちらに来るはずでおじゃるよ」
「なら、典雅様たちはどうぞお先にお屋敷に戻ってくださいな。塔子さんもお疲れでしょう?」
「それではお言葉に甘えて、そうさせていただくでおじゃる。さあさあ塔子、お父ちゃまといっちょに帰りまちゅよー」
あ、マロさん、塔子さんと赤ちゃんをゴッチャにしてる……。
夫を従えた塔子さんと、かいがいしく妻を気遣うマロさんたちが仲良く帰って行くのを見送ってから、あたしとお岩さんは声を上げて笑った。
「見るからに幸せいっぱいですわねぇ」
「ほんとだね」
あの性格の真逆なふたりが結婚するって聞いたときは、破滅の未来しか想像できなくて、どうやって思いとどまらせようか本気で悩んだけど。
世の中、なんとかなるもんだなー。
「夫婦の形も、幸せの形も、愛の形も、人それぞれということですわね」