神様修行はじめます! 其の五
そういうお岩さんは、つい先日、凍雨くんと正式に婚約したばかりだ。
『自分は誰とも一生結婚しない』
以前、お岩さんはそう言っていた。
でも今、彼女は凍雨くんと婚約してる。本当に将来結婚するかどうかは確かじゃないけど。
お岩さんの心の内に、お月さまが徐々にその形を変えていくような、静かな変化があったんだろう。
彼女の中で、セバスチャンさんへの想いがどんな形で決着がついたのかは、分かんない。
それは、決着と言うべきなのか。
それとも昇華と言うべきなのか。
もしかしたら、諦めと言うのが正しいものなのか。
それすらもあたしには分かんないことだけど。でも……。
「天内さん、権田原さん、お待たせしました」
縁側の向こうから少年の明るい声が響いてきて、あたしとお岩さんはそちらに視線を向けた。
最近やたらとすくすく背が伸び始めた凍雨くんが、こっちに向かって歩いてくる。
その背後には、漆黒の執事服に身を包んだ美青年が。
「凍雨さん、セバスチャン、お疲れ様ですわ」
ふたりに向けるお岩さんの温かな眼差しを見てると、感じる。
お岩さんの中の変化は、悪いものじゃないんだって。
「あ、ほら皆さん見てください! 雨ですよ!」
「まあ、ほんとですわ。天気雨」
『自分は誰とも一生結婚しない』
以前、お岩さんはそう言っていた。
でも今、彼女は凍雨くんと婚約してる。本当に将来結婚するかどうかは確かじゃないけど。
お岩さんの心の内に、お月さまが徐々にその形を変えていくような、静かな変化があったんだろう。
彼女の中で、セバスチャンさんへの想いがどんな形で決着がついたのかは、分かんない。
それは、決着と言うべきなのか。
それとも昇華と言うべきなのか。
もしかしたら、諦めと言うのが正しいものなのか。
それすらもあたしには分かんないことだけど。でも……。
「天内さん、権田原さん、お待たせしました」
縁側の向こうから少年の明るい声が響いてきて、あたしとお岩さんはそちらに視線を向けた。
最近やたらとすくすく背が伸び始めた凍雨くんが、こっちに向かって歩いてくる。
その背後には、漆黒の執事服に身を包んだ美青年が。
「凍雨さん、セバスチャン、お疲れ様ですわ」
ふたりに向けるお岩さんの温かな眼差しを見てると、感じる。
お岩さんの中の変化は、悪いものじゃないんだって。
「あ、ほら皆さん見てください! 雨ですよ!」
「まあ、ほんとですわ。天気雨」