神様修行はじめます! 其の五
伸ばした指の先には、雨に湿った午後の空気だけ。
シンと静まり返った中庭に、一羽の鳥の鳴き声が寂しく響いて、すぐにまた無音になった。
「…………」
あたしはポロポロ流れる涙を手でぬぐいながら、盛大に鼻をすすって空を見上げる。
涙で霞んだ雨上がりの空に、虹が見えた。
青空に浮かぶ雲の切れ間に、透き通る七色の淡い束。
これは、わずか一瞬の幸せな贈り物だ。
ほんの少しの間だけ許された、夢のような時間。
どんなに願ってもその幸せな時はあっという間にボヤケて、跡形もなく消えてしまう。
せめて、そのかけがえのない姿を、この目と心にしっかりと刻みたい……。
「小娘」
瞬きする間も惜しんで消えゆく虹を見上げていたら、思いもよらない声が聞こえてビックリしてしまった。
この声、絹糸!? 道場から出てきたの!?
ということは、修行が終了したんだね? ようやく門川君の気が済んだのか。
「絹糸、いつ道場から出てき……って、どーしたのよその姿は!」
振り返ったあたしは、目を丸くして大声を上げてしまった。
だって絹糸、満身創痍なんですけど!?
まるでズタボロのぞうきんだよ! 酔っ払いみたいにフラフラだし、大量に出血してるじゃん!
わ、わ、絹糸が歩いた場所に血の道ができてる!
なんでそんな全身血だらけ傷だらけになってんの!?
そんな激しい修行してたの!?
もはやそれ、修行じゃないよね!? 完全に殺し合いの域に達してるよね!?
シンと静まり返った中庭に、一羽の鳥の鳴き声が寂しく響いて、すぐにまた無音になった。
「…………」
あたしはポロポロ流れる涙を手でぬぐいながら、盛大に鼻をすすって空を見上げる。
涙で霞んだ雨上がりの空に、虹が見えた。
青空に浮かぶ雲の切れ間に、透き通る七色の淡い束。
これは、わずか一瞬の幸せな贈り物だ。
ほんの少しの間だけ許された、夢のような時間。
どんなに願ってもその幸せな時はあっという間にボヤケて、跡形もなく消えてしまう。
せめて、そのかけがえのない姿を、この目と心にしっかりと刻みたい……。
「小娘」
瞬きする間も惜しんで消えゆく虹を見上げていたら、思いもよらない声が聞こえてビックリしてしまった。
この声、絹糸!? 道場から出てきたの!?
ということは、修行が終了したんだね? ようやく門川君の気が済んだのか。
「絹糸、いつ道場から出てき……って、どーしたのよその姿は!」
振り返ったあたしは、目を丸くして大声を上げてしまった。
だって絹糸、満身創痍なんですけど!?
まるでズタボロのぞうきんだよ! 酔っ払いみたいにフラフラだし、大量に出血してるじゃん!
わ、わ、絹糸が歩いた場所に血の道ができてる!
なんでそんな全身血だらけ傷だらけになってんの!?
そんな激しい修行してたの!?
もはやそれ、修行じゃないよね!? 完全に殺し合いの域に達してるよね!?