神様修行はじめます! 其の五
あたしに何も言わずに島へ渡った、クレーターさんの背中が脳裏に浮かんだ。
あの薄い後頭部を思い出したら、目の奥がジュンッと熱くなる。
湿り気を帯びた鼻をスンスンさせながら、あたしは両目をパチパチさせて涙をこらえた。
「な、なんで、誰も何もあたしに教えてくれなかったの?」
「誰にも何も言っていなかったからだよ。今回の異界行きは、僕と絹糸だけの秘密だった」
「どうして言ってくれなかったのさ?」
「言ったらキミは一緒について来たろう? 生きて帰ってこられる保証もないような場所に、キミを連れてはいけない」
「だからって……!」
「それにこれは、僕がキミに払うべき対価だ。なのにキミにこれ以上の代償を払わせるわけにはいかないよ」
「なぜか我まで代償を払うハメになっておるがのぅ……」
ごもっともなグチをこぼした絹糸が、グッタリと息を吐く。
門川君も、精も根も尽き果てた様子で床の上にドサリと倒れ込んでしまった。
あたしが知らないところで、あたしのために命を賭けてくれていたふたり。
『こんな危険なことして、絶対に許さないから!』
『あたしのためにこんな目に遭わせてしまって、ごめんなさい!』
『なんで教えてくれなかったの? しま子を連れ戻しに行くなら、どんなに危険な場所でもついて行ったのに』
『ふたりが死にかけていた時に、なにも知らずにのほほんと笑っていたなんて、あたしは大バカ者だ!』
頭も心もいろんな物がドッと押し寄せてきてグチャゴチャ。
なにをどう言えばいいものか、もう、胸がいっぱいで。
ひたすら泣きそう……。
あの薄い後頭部を思い出したら、目の奥がジュンッと熱くなる。
湿り気を帯びた鼻をスンスンさせながら、あたしは両目をパチパチさせて涙をこらえた。
「な、なんで、誰も何もあたしに教えてくれなかったの?」
「誰にも何も言っていなかったからだよ。今回の異界行きは、僕と絹糸だけの秘密だった」
「どうして言ってくれなかったのさ?」
「言ったらキミは一緒について来たろう? 生きて帰ってこられる保証もないような場所に、キミを連れてはいけない」
「だからって……!」
「それにこれは、僕がキミに払うべき対価だ。なのにキミにこれ以上の代償を払わせるわけにはいかないよ」
「なぜか我まで代償を払うハメになっておるがのぅ……」
ごもっともなグチをこぼした絹糸が、グッタリと息を吐く。
門川君も、精も根も尽き果てた様子で床の上にドサリと倒れ込んでしまった。
あたしが知らないところで、あたしのために命を賭けてくれていたふたり。
『こんな危険なことして、絶対に許さないから!』
『あたしのためにこんな目に遭わせてしまって、ごめんなさい!』
『なんで教えてくれなかったの? しま子を連れ戻しに行くなら、どんなに危険な場所でもついて行ったのに』
『ふたりが死にかけていた時に、なにも知らずにのほほんと笑っていたなんて、あたしは大バカ者だ!』
頭も心もいろんな物がドッと押し寄せてきてグチャゴチャ。
なにをどう言えばいいものか、もう、胸がいっぱいで。
ひたすら泣きそう……。