神様修行はじめます! 其の五
体中の端々まで、熱い血がドクドクと音をたてて巡り始めている。
細胞のひとつひとつを湧き立たせるこの血が、奥底から呼び覚ますんだ。
どんな困難な戦いにも怯まず、先陣切って苦境に飛び込んでいく天内の強さを。
まるで目の前を覆っていた濃い霧が、ようやく晴れたような気分だ。
霧に隠れて見えなかっただけで、あたしが望む場所はちゃんとあった。
あたしは、これからもその場所を目指して行けばいい。
だって、望む場所へと足を進めるあたしの隣には……
「天内君」
門川君。
こんなに血まみれになるほど深い傷を負っても、何度でも立ち上がり、あたしに向かって手を差し出してくれる人がいる。
その彼の手のひらには……
「さあ、これをキミからしま子へ」
一輪の、花。
あの日、しま子があたしに与えてくれた、かけがえのない物。
「以前キミは僕に言ったね? 僕の心の中に、氷に閉ざされた花が見えると」
手のひらに乗せた花を、あたしに捧げてくれる彼の微笑みが涙で霞む。
うん、いつか……
いつかその氷をあたしの炎で溶かして、あなたの花をこの手に受け取ることが、あたしの夢だった……。
「どうか僕の思いを、僕の心をしま子に届けてくれ。それはキミにしかできない」
あたしを真っ直ぐに見つめる、黒く澄んだ瞳。
出会った頃、この瞳の奥は深い悲しみと、儚さと、諦めに満ちていた。
それが今、こんなにも力強い光が宿っている。
諦めきれない物に手を伸ばし続けようとする、明確な意思がある。
あの苦難の日々から留まることなく進み続けて、彼はようやく、ここまで辿り着いたんだ。
細胞のひとつひとつを湧き立たせるこの血が、奥底から呼び覚ますんだ。
どんな困難な戦いにも怯まず、先陣切って苦境に飛び込んでいく天内の強さを。
まるで目の前を覆っていた濃い霧が、ようやく晴れたような気分だ。
霧に隠れて見えなかっただけで、あたしが望む場所はちゃんとあった。
あたしは、これからもその場所を目指して行けばいい。
だって、望む場所へと足を進めるあたしの隣には……
「天内君」
門川君。
こんなに血まみれになるほど深い傷を負っても、何度でも立ち上がり、あたしに向かって手を差し出してくれる人がいる。
その彼の手のひらには……
「さあ、これをキミからしま子へ」
一輪の、花。
あの日、しま子があたしに与えてくれた、かけがえのない物。
「以前キミは僕に言ったね? 僕の心の中に、氷に閉ざされた花が見えると」
手のひらに乗せた花を、あたしに捧げてくれる彼の微笑みが涙で霞む。
うん、いつか……
いつかその氷をあたしの炎で溶かして、あなたの花をこの手に受け取ることが、あたしの夢だった……。
「どうか僕の思いを、僕の心をしま子に届けてくれ。それはキミにしかできない」
あたしを真っ直ぐに見つめる、黒く澄んだ瞳。
出会った頃、この瞳の奥は深い悲しみと、儚さと、諦めに満ちていた。
それが今、こんなにも力強い光が宿っている。
諦めきれない物に手を伸ばし続けようとする、明確な意思がある。
あの苦難の日々から留まることなく進み続けて、彼はようやく、ここまで辿り着いたんだ。