神様修行はじめます! 其の五
門川君の手から再び花を受け取って、あたしはしま子と向き合う。
そして、術陣の中にそっと花を置いた。
「しま子」
「クギャアァァ――――!」
「しま子、大好きだよ」
大好き。大好き。
この気持ちを諦めるなんて、絶対にできない。
何度振り払われようとも。何度踏みつけられようとも。
届かぬ月に手を伸ばすように、あたしは、あなたに向かって花を捧げ続ける。
「あたしは、しま子のことが大好きだよ」
通じない言葉と届かない気持ちを捧げるあたしの姿を、しま子の巨体が見下ろしている。
「ギャアァ! ギャア――! ガ―……?」
叫び続けるしま子の目に、小さな戸惑いが見え始めた。
得体の知れない存在を警戒するように、用心深くあたし達の様子を探っている。
そうしているうちに、しま子は床に置かれた花に興味を持った。
ソロソロと身をかがめて花に顔を近づけ、気味悪そうにクンクンと香りを嗅いでいる。
「……?」
しま子が不思議そうに首を傾げる様子に、あたしは勢い込んだ。
「しま子!? まさか何か思い出したの!?」
「クギャアァァ――――!」
思わず身を乗り出したら、しま子はバッと後ろに飛び退いて、また叫びだしてしまった。
門川君があたしの肩をそっと引き寄せて宥める。
「天内君、焦るな」
「そうじゃ小娘。しま子の中に、お前の記憶は一片もないことを忘れてはならぬ」
「……うん。分かってる」
そして、術陣の中にそっと花を置いた。
「しま子」
「クギャアァァ――――!」
「しま子、大好きだよ」
大好き。大好き。
この気持ちを諦めるなんて、絶対にできない。
何度振り払われようとも。何度踏みつけられようとも。
届かぬ月に手を伸ばすように、あたしは、あなたに向かって花を捧げ続ける。
「あたしは、しま子のことが大好きだよ」
通じない言葉と届かない気持ちを捧げるあたしの姿を、しま子の巨体が見下ろしている。
「ギャアァ! ギャア――! ガ―……?」
叫び続けるしま子の目に、小さな戸惑いが見え始めた。
得体の知れない存在を警戒するように、用心深くあたし達の様子を探っている。
そうしているうちに、しま子は床に置かれた花に興味を持った。
ソロソロと身をかがめて花に顔を近づけ、気味悪そうにクンクンと香りを嗅いでいる。
「……?」
しま子が不思議そうに首を傾げる様子に、あたしは勢い込んだ。
「しま子!? まさか何か思い出したの!?」
「クギャアァァ――――!」
思わず身を乗り出したら、しま子はバッと後ろに飛び退いて、また叫びだしてしまった。
門川君があたしの肩をそっと引き寄せて宥める。
「天内君、焦るな」
「そうじゃ小娘。しま子の中に、お前の記憶は一片もないことを忘れてはならぬ」
「……うん。分かってる」