神様修行はじめます! 其の五
届いていた?
届かないはずの光が、こんな形で届いていた?
……そうだったんだ。
月の本当の姿を、あたし達はちゃんと見ていた。
月は答えてくれていたんだ。
決して目立たず、慎ましく。
でも懸命に、一心に、そうして光を届け続けてくれていたんだ!
「……ウ……ガ……」
「しま子?」
熱心に月を見上げているしま子の右手が、ゆっくりと動き始めた。
そしてその手は、請うように空へ真っ直ぐ伸びる。
月へ。
まるで願いをかけるように、届かぬ月へと。
「これは……?」
「おお、しま子よ……」
門川君と絹糸が、そんなしま子を戸惑いと驚きの混じった目で見ている。
あたしは涙ぐみながら、言葉もなくしま子を見つめていた。
たぶん、これは無意識の行動だ。
明確な意思や深い意味があってやっているわけじゃなくて、しま子は単純に月が珍しくて手を伸ばしているだけだろう。
でもあたしには、しま子の声が聞こえた気がした。
夜であっても昼であっても月が月であるように、自分は自分なのだと。
自分は、しま子だと。
その真実を全身全霊で、あたし達に届けようとしてくれている気がする。
……受け取らなければならない。
この両手を広げて、しま子の声を受け取らなければならない。
本来ならば決して誰にも届かぬだろうその声を、その願いを、あたしが青い光となって受け止めてみせる。
届かないはずの光が、こんな形で届いていた?
……そうだったんだ。
月の本当の姿を、あたし達はちゃんと見ていた。
月は答えてくれていたんだ。
決して目立たず、慎ましく。
でも懸命に、一心に、そうして光を届け続けてくれていたんだ!
「……ウ……ガ……」
「しま子?」
熱心に月を見上げているしま子の右手が、ゆっくりと動き始めた。
そしてその手は、請うように空へ真っ直ぐ伸びる。
月へ。
まるで願いをかけるように、届かぬ月へと。
「これは……?」
「おお、しま子よ……」
門川君と絹糸が、そんなしま子を戸惑いと驚きの混じった目で見ている。
あたしは涙ぐみながら、言葉もなくしま子を見つめていた。
たぶん、これは無意識の行動だ。
明確な意思や深い意味があってやっているわけじゃなくて、しま子は単純に月が珍しくて手を伸ばしているだけだろう。
でもあたしには、しま子の声が聞こえた気がした。
夜であっても昼であっても月が月であるように、自分は自分なのだと。
自分は、しま子だと。
その真実を全身全霊で、あたし達に届けようとしてくれている気がする。
……受け取らなければならない。
この両手を広げて、しま子の声を受け取らなければならない。
本来ならば決して誰にも届かぬだろうその声を、その願いを、あたしが青い光となって受け止めてみせる。