神様修行はじめます! 其の五
 ……やべえ。メーター吹っ切れる寸前だよ、これ。


「アナタ今、なんておっしゃったかしら? あぁ、『身分の低い女は、せいぜい愛人どまり』でしたわねぇ?」


「あ、いやいや権田原の長様、私は決してそのようなことは……」


 お岩さんの壮絶な様子から、さすがにマズったことを自覚したオヤっさんが、慌てて尻込みして弁解する。


 でもお岩さんは追及の手を緩めない。


「あとは、なんでしたかしら? そうそう、『田舎育ちの女は、残酷なまでに品がなくて救いようがない』でしたわねぇ?」


「いえいえ! 決してそのような意味のことでは……」


 青ざめたオヤっさんは必死に首を横に振り、自分の無罪を懸命に主張する。


 まぁ確かに、この人そこまでハッキリとは言ってなかったけどね……。


「それから、『しょせんバカな女なんか、子どもだけ生んでりゃーいいんだよ男の世界に口出しすんじゃねえ邪魔だオラァ! あははは!』でしたわねぇ?」


「そんなことは言っていません絶対に!!」


 悲鳴のような声を上げて涙目で訴えるオヤっさん VS ボルテージ臨界点突破状態、お岩さん。


 勝敗、見えてるじゃん。世界中の誰もこの状態の彼女に敵うわけない。


 ああ……これは、くる。絶対、久々に来るよぉぉ……。
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