神様修行はじめます！ 其の五

「あなたの言葉の端々から漂ってくる、わたくしへの侮蔑的な本音を、しっかりと読み取らせていただきましたわ」


「そ、そのような不遜な気持ちは、毛頭ございませぬ！」


「んまあ、失礼な。頭に毛がないのは、わたくしではなくてそちらの長様ですわ」


「そういう意味ではございません！」


「では、どういう意味ですの？　やはりわたくしを侮辱していらっしゃるということですのね？」


「言いがかりです！　私はひと言も、権田原様のことは申しておりませぬ！　私は天内の娘を……」


「アマンダへの不当な扱いは、わたくしに対する全面攻撃とみなします」


「アマンダって誰ですか！？　なんですかその変チクリンな名前は！」


「んまあぁ！　たったいまわたくしたちの頭上に、ゴングが『カーン』と鳴り響きましたわ！」


「そんなムチャなー！」


「お黙りなさい！」


　お岩さんが、自分の膝元を手の平でピシリと軽く叩いた。すると……


　――　ズゴゴゴゴォォ……


　地震の前兆のような、体の芯で感じるあの感覚が、静かな地鳴りと共にやってくる。


　あぁ…………。


　来た。


　あたしは覚悟を決めて、きたるべきショックに備えて身を固くした。


　……来た。来た。来たよぉぉ……。


「え？　え？」

　なにかを予感したらしきオヤっさんが、不安丸出しの表情で、キョロキョロと周りを見回しながら警戒している。


　やがて地鳴りが地響きとなり、振動は極限に達し、足元から内臓が震えるほどの衝撃が襲ってきて、そしてついに……


　――ドッゴオォォォッッッン！


　大量の庭土と庭石を天に向かってブッ飛ばしながら、怒れる超巨大ミミズが地中からその姿を現した！


　……出たあぁぁー！　お岩さん親衛隊員第一号、ジュリエッタ！


　ずいぶん久しぶりだけど、お元気でしたかーーー！？