でもそれはあまりにも不器用で、



「へえ。初めまして」

健はそう言って杉浦に笑いかけた

いつもの人懐っこい笑顔だけど
すこし大人びた感じがした

「ああ、よろしく。」

杉浦もまた、同じように微笑んだ



元同級生と健が話してるのは不思議な感じ。


この2人は何となく気が合いそうだなとか、1人でぼんやりと考えていた。




「あ、」


3人の沈黙を破ったのは 杉浦


「お次は〇〇、〇〇です。お出口は左側です。」

それと同時に駅員さんの声が響いて、
私と杉浦の最寄駅に着いた




「美和、どうする?送ろうか?」


健はそういえば、と言うように、私に聞いた
杉浦いるし、どうする?って意味だろう


「いいよ。杉浦もいるし。大丈夫」

「そっか。うん。じゃあな。美和、と杉浦くん。」



健はひらりと片手を上げて
もう片方の手で持っていた携帯をポケットに突っ込んだ。




「うん、また明日。」

私も同じようにひらりと片手を上げた

先に電車を降りた杉浦も
片手こそ上げなかったけど、ふわりと微笑んだ


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