でもそれはあまりにも不器用で、



ゆっくりと杉浦は口を開いた

「あのさ…」

「ん?」





「…好き、なんだ?その、福井くんのこと。」




「はっ?」





耳を疑った

何なんだいきなり

いや、好きだよ?好きだよ、健の事はね。
友達として、クラスメイトとして、同じ部活仲間として。

でも本当にそれだけ



「え?好きなんだろ?」

「ち、違う違う!いや、違くもないけど。友達として好きだよ!」


ポカンとした顔をして私を見つめている杉浦
なんて間抜けな顔なんだ


「そう、なんだ?」

「うん。そうなんです。その、恋愛感情とかはない。」




何をどう見たら私が健のことを好きなように見えるんだろう

可愛い犬にしか見えてないのに。いや、それも失礼か。




「お似合いだと思ったけどな。」

独り言のように呟いたその杉浦の言葉に
なぜか苛立ちを覚えた



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