でもそれはあまりにも不器用で、



「…別に、そんなんじゃないから。」

ボソッと私は言うと、

「ごめんごめん」

と困ったように笑った



ほら、言いたいこと言えなかった時の癖。
自分の気持ち押し殺してること、
自分で気づいてるのかな。

それともワザとそうしてるのかな。


誰にも言えないで、苦しんでるんじゃないかな。



… 私でいいなら、話聞くのに。





そんなことを考えていたら
あっという間に家に着いた


「ごめん、疲れてるのに。送ってくれてありがとう。」

「いいよ全然。」

「……うん。」


「「……」」




シーンと私たちが喋らなくなった住宅街は静かすぎる



「あの」


沈黙を破ったのは私。



「言いたいこと、押し殺すのやめなよ。」


もっとオブラートに包んで言えないのかな自分は。
語学力のなさにガッカリする。
国語、勉強しよう。




相澤はグッと目を見開いて、私を見つめた。

…そんなに見つめられると困るけど。





「…俺、そんな風に見えてる?」

「え?」


相澤は下を向いてゆっくりと、笑った



笑ってるのに、すこし、私の目には
寂しそうな表情に見えて。






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