でもそれはあまりにも不器用で、
「何のこと〜?」
私は知らないフリをした。
そんなの頭のいい杉浦にはバレバレなんだろうなあ。
「卒業式の日。中庭。」
うん、その言葉だけで、充分に伝わるよ。
そう心の中で思いながら、私は黙り込んだ。
「待ってたんだよ、俺。ずっと。」
うん、知ってたよ。
杉浦が帰るまでずっと、校舎から見てたから。
「なんで来なかったの?」
「………。」
杉浦を振り切るのは今なのかもしれない
今言えたら、私は新しい恋に進めるかもしれない
「………忘れてた。帰っちゃった。」
あはは。ごめんね。
そう下手くそに笑って嘘を吐いた。
なんで、言えなかったんだろう。
「好きだったから、告白しようとしたけど、
怖くなって、逃げたの。ごめん」って。