・TimeLetter『DEAR』

「私が……分かるの?」

「何言ってんのよ。分かるに決まってるでしょ、香澄」


私をまっすぐに見つめている瑞穂ちゃんを見るのは、何年ぶりだろう。
瑞穂ちゃんの瞳に映る私の顔は、今にも泣きだしてしまいそうな雰囲気だ。


「久しぶりだね、連絡してくれたら駅まで迎えに行ったのに」

「だって、今日も仕事だと思ってたからっ……」

「今日はお休みだったの。あ、もしかして職場の方に行った?」


ううん、と首を振る私に瑞穂ちゃんは懐かしそうに笑いかけた。


「ノーメイクでごめん、仕事中のメイクが厚化粧だからさ。休みの日はなるべくスッピンで過ごしてるんだ。せっかく香澄が来てくれたから近所のファミレスで一緒に夕食でもって思ったんだけど。さすがにノーメイクはマズいよね、一旦うちに上がってよ」


目の前に居る瑞穂ちゃんは、仲良しだった頃の強引さで私の背中に回り込み、アパートの二階に案内してくれた。


「適当に座ってて。メイクして出掛ける準備するから」


瑞穂ちゃんは相変わらずだった。
自ら予定を立てておきながらも、準備は全くしてないところとか。
いつの間にか瑞穂ちゃんのペースに巻き込まれてて。


「……変わってないね」

「そう? 香澄だって、全然変わってないじゃん。土壇場でやめるとか、相変わらず」
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