・TimeLetter『DEAR』

瑞穂ちゃんを乗せた電車はホームから少しずつ離れてゆく。
お互いに手を振り合っている姿は、朝だというのに恋人たちが別れを惜しんでいるみたいだな。などと思ってしまったために、ホームに残された私は独り怪しげにニヤニヤと顔が緩んでいた。


自宅にはスグに帰らず、帰宅途中でカフェに立ち寄る。
カフェラテを頼み、店内で一番眺めの良さそうな席に座った。


フカフカのソファに腰かけると、深く沈みとても心地がいい。
気持ちを落ち着かせ、よく考えてみる。

瑞穂ちゃんが話していた通り、私に届いた空色の手紙は卒業記念で貰った便箋と封筒だとしよう。
毎年同じ記念品ならば「同窓生」となり探す範囲が広がってしまうけど、瑞穂ちゃんと私を知っている人物となれば「同級生」のはずだ。

女子には「桜色」男子には「空色」だったのだから、私の名をかたり手紙を書いた主は「同級生の男子」ということになるよね。

瑞穂ちゃんと私に共通する男子といったら……。


「ひとりしかいない」


頭に浮かんでくるのは、やっぱり葉山君しか思いつかないのだ。
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