・TimeLetter『DEAR』

そのメールに記されていた住所を確認しながら、一文字一文字間違えない様に封筒に記入する。
さっきまで、なんでもなかったはずなのに。
不思議と手が震えてしまって、いつも以上に不安定な文字になってしまった。


書き直そうかとも思ったけれど、既に封を綴じてしまっているし書き直しても今とさほど変わらない文字になりそうな予感がした為、そのまま封筒をバッグにしまいカフェを後にした。



電車を乗り継ぎ夕焼け色に染まる街に戻った私は、最寄りの郵便局へ行き窓口に直行する。
ポストに出すよりも早く処理してもらえるだろうと考えたのだ。
窓口には三人ほど郵便局員さんが待機していて、窓口の列に並んだ私に気付き一斉に目を向けた。


「こちらへどうぞ」


眼鏡の奥から私に視線を向け、爽やかな笑顔で窓口に立つ男性局員さんに、葉山君宛の手紙を差し出して言った。


「あの、手紙を出したいんですけど切手を買っていないので、重量を量ってもらえますか?」

「お待ちください。……八十二円です」


トレイに料金を出そうと財布の中の小銭を確認している私の頭上に、局員さんの声が降った。


「お客様、郵便番号が記入されていませんが。そのままお出しになりますか?」

「え? あっ」


しまった! 瑞穂ちゃんからのメールで住所は分かったけど郵便番号は分からなかったんだ。
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