・TimeLetter『DEAR』
「あ、あぁ。そうなんですか? そりゃよかった……です」
「相変わらず弱腰だな。送料も要らない」
「はい? でも、それじゃあ手紙が」
「直接受け取ったので不要です」
確かに受け取りました。と局員の男性は眼鏡を少しずらし改めて私を見つめると、口の端を上げながら言ったのだ。
「まだ分かんねぇの? 瀬戸川、俺だよ」
「……あ!」
嘘でしょ⁈
私、今迄だってココの郵便局を利用していたんだよ?
なのに、どうして気付かなかったの?
胸元のネームプレートを改めて確認すると、確かに「葉山」とバッジが着けられているし。
独りでパ二くっている私を見ながら、眼鏡を外し周囲に注目されない様に声を殺して失笑している彼の笑顔は、高校生の頃の面影を残していて。
いつも探していた、その姿。
偶然にも目が合えばドキドキしていた、変わらない瞳。
私が片思いしていた、密かに好きだった葉山浩太君だった。
「は、は、葉……山君。どうしてココにっ?」
動揺しすぎて声が震え、上ずる。
葉山君を指さしている指先も、ついでにプルプル震えていて。
そんな私に、葉山君は余裕の笑みを浮かべながら冷静に対応した。
「お客様、次の方がお待ちなので。改めてお呼び致します、宜しければあちらでお待ちください」