・TimeLetter『DEAR』
葉山君に指示されたソファに向かい、素直に腰かけてしまっている私もどうかと思う。
けれど、今のパ二くった頭を冷静にするだけの時間が必要な事も確かで。
窓口で業務を行っている葉山君の仕事ぶりを横目で見ながら、時が経つのを待った。
あれではスグに分からないのも仕方がないよ。
高校生の頃は眼鏡なんてしていなかったし、制服だって学ランでさ。
ネクタイを締めている社会人らしい姿は学ラン姿の葉山君とは違って、すっかり大人びてるし。
でも。
訪れるお客様を相手に手際よく、時には親切に説明している姿などを見ていると、困った人には誰にでも手を差し伸べる優しかった彼を思い出す。
そんな葉山君の仕事ぶりを眺めながら、物思いにふけっている私は。
いつしか当時の淡い気持ちを思い出し。
大人になった葉山君を見つめがながらドキドキときめいていた。
暫くすると葉山君の姿を目で追っていた私の元へ、仕事が落ち着いたのか葉山君が窓口業務を離れ、小走りで近寄って来た。
「瀬戸川、仕事あがるんだけど。この後、時間ある?」
「時間?」
「飯でも一緒にどう?」
「え? わた……し?」