・TimeLetter『DEAR』
私の中で瑞穂ちゃんの言葉が忘れられない。
中学の頃、葉山君が私を好きだと言ってくれたことに、少し期待してしまっている自分がいる。
再会出来た彼の口から、直接聞いてみたい気もしたからだ。
黙ったまま、葉山君の前に空色の手紙を見せる。
この手紙の送り主が本当に葉山君ならば、いったい葉山君はどんな反応を私に見せるのかな。
「この手紙を私に送ってくれたのは、葉山君なの?」
葉山君の返事は?
イエス? それとも、ノー?
片想いをしていた相手を前に、自信がなくて何も話せず何も出来なかった私とは違っていた。
今は葉山君を前にしていても、しっかり訪ねることができた自分に少し驚きつつ。
顔を上げて葉山君を見つめることも、本来の私なら恥ずかしいはずなのに。
不思議とまっすぐ見つめることができていた。
「そうだよ」と言ってほしい。
この手紙は、葉山君が私に送ってくれたんだよね?
そうなんだよね?
「なにそれ? 俺じゃないよ」
「……あれ?」
「ん?」
おかしい。
思い描いていた予想と違ってしまい、思わず首をかしげると。
そんな私につられるように、葉山君も私を見つめたまま首をかしげた。