・TimeLetter『DEAR』
「過去の瀬戸川から?」
「分かってるの、友達にも笑われた。過去の自分から手紙が届くわけないって。誰かに踊らされるんだって」
でも。
ここまでこれたのも、この手紙のおかげなのは確かだから。
私にとって、誰が書いて送って来たかなんて。
実は大した問題じゃなかったの。
葉山君だったらいいな、って少しだけ期待していただけ。
手紙を取り戻そうとしながら、私は一生懸命に空色の手紙が届いた経緯を葉山君に話していた。
私の話を黙って聞いていた葉山君に、突然腰を捕らえられギュッと抱きしめられ。
ジャンプしていた私の身体は、葉山君によって動きを止められてしまった。
つま先立ちしている状態の私は、一瞬の出来事に何が起こったのか分からなくて。
ただ。
葉山君に抱きしめられていることで、初めて葉山君の香りが私を包み込んでいる事だけは自覚できていた。
「……葉山……君?」
「ごめん、からかって。瑞穂には会った? 仲直り出来た?」
「瑞穂ちゃん? 葉山君、どしてそれを知っ……」
抱きしめられたまま、耳元で囁いた葉山君の口から告げられたのは瑞穂ちゃんとの状況確認で。
空色の手紙を書いたのは、葉山君じゃないと言っていたのに。
どうして突然、葉山君が瑞穂ちゃんとの事を口にするの?