第3者恋
帰ったら夕飯食べて何しようかな…。
久しぶりにテレビ観てみようかな?

あ、でも誰も居ないからピアノを思いっきり弾こうかな


「「あっ、」」


私と声が重なったのは言うまでもなく水永先輩だ。海の日以来全く会っていなかったというのに…


「春野さんはこれから何するの?」

「夕飯食べるだけですよ」

「じゃあ、一緒に花火観ない?」


思いがけない言葉に私は動揺を覚えた。


え、水永先輩

本当にいいのですか?


「はいっ!」

「じゃ、俺ん家でいいよ」

「有難うございます」


今年はなんて付いているのだ。寂しいと思った時に水永先輩に会えるなんて!すっごく嬉しい



何度も来ているのに


何故かそこは異世界で


少しだけ心が高鳴った



「荷物は適当に置いといていいよ」

「あ、はい…って、わぁー」

「花火始まったね。今年はちょっと早い始まりだね」

「はい」



色とりどりの花火で、それはまるで宝石のように見えた。毎年色とりどりの花火なので何年見ても見飽きない


「きれぇー」「……」


「?水永先輩なにか言いました?」

「春野さんと同じ、綺麗だなって思って」


水永先輩の声は花火の火薬と一緒に何処かへ消えてしまった。だから私が知るはずなかった。



-好き



たったその2文字が聞き取れなかった。花火の打ち上がった後のように切なく消えてしまった。
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