第3者恋
〖華奈side〗


「あ、あの…、天翔…春野天翔いますか?」

「あ!春野さんのお姉さんですか。少々お待ちください」


水永先輩の家から直行で天翔の塾先に来た私だけれど、天翔が倒れるなんて今まで1度もなかった。


「姉ちゃん…、ゴホッゴホッ…。」

「天翔、大丈夫?」

「この前、雨にうたれたから、だと思うけど…。久々に風邪ひいた、かも…。」

「いや、“かも”じゃなくて風邪ひいてるからね」


変なところで頑固って気が強くてお姉ちゃんとしては困るんだよなぁ〜


天翔は身体が強い方なんだけど、やっぱりそれなりに風邪はひくんだね。


ほら、“バカは風邪をひかない”って言われるけど、天翔は馬鹿じゃないって事になる訳で…。


「姉ちゃん…、何か考え事?」

「あ、うん!どうやって帰る?」

「兄ちゃんに連絡したけど、まだ終わらないって言われたし…。親には連絡したくない」

「そうだよね…。」


別に親を嫌ったり、親に嫌われたりしてる訳ではない。

ただ、仲が悪いのだ。


私達に必要なお金は出してくれるけど、それ以上の事は何もしてくれない。


と言うのも、会社の女社長である母と、優秀で世界から一目置かれる医師である父な為2人共とっても忙しい。


天翔が『親には連絡したくない』と言うのは迷惑かけたくないというだけの事。

嫌いだからという訳ではない。


「よし!お姉ちゃんが天翔の事をおんぶするよ」

「え、潰れちゃうよ?」

「でも…、天翔辛そうだし…。」

「…、分かった。じゃあお願い」


いつもは天翔に迷惑ばっかりかけてるからね〜…。


たまにはお姉ちゃんらしい事させてよ!
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